眉毛『どうだ? ほっとしたかい?
 腹に響くエンジンの音、薄汚れたオイルの臭い、棺桶よりも狭いコックピット。
 お前の心の渇きを癒してくれるのはそこだけさ』

顎「違う」

弱禿(フヘヘ、違う事はねぇだろ?
 シャバに出てはっきり分かった筈だぜ。
 その手をレースに染めた奴ぁどう足掻いたってまともな人間には戻れねぇのよ。
 俺達はレーサー。どう理由を付けたってこれに変わりはねぇ。
 地獄に堕ちた野郎は地獄の中に生き甲斐を求めるしかねぇのよ。
 そしてどんどんシャバから遠ざかってくのさ)

顎「違う!」

弱禿(違わねぇよ!!
 おめぇも俺とおんなじなんだよ。
 だから言ったろう、お互い気が合いそうだって)

顎「違う! 違うんだ!!
 俺には分かったんだ。俺の拘りの元凶がF1だって事が。
 だから俺は戻るのさ。この拘りを消す為に」