ドキュメンタリーの最後の庵野監督がiPhoneを持って走るシーンもちょっとわざとらしかったですね(笑)。
庵野秀明を碇シンジに投影しようとし過ぎている。実際はシンジくんだけではない。庵野監督は歳をとって
ゲンドウにも近くなり、ミサトさんでもあるわけですよ。マリに関しては、これをいうとカラーさんには
「違いますよ」と言われそうですけれど、そもそも庵野監督発信のキャラクターでないゆえになんらかの
媒介だったりするわけじゃないですか。

絵コンテをきらないという気持ちは非常にわかるし、やりたいと思うんですけれど、その制作方法がはたして
どれほど作品の上澄みになっているのかは正直わかりません。アニメーションという表現技法の中で、
何かを180度覆するものではない気がします。とはいえ、より難易度の高いカットは出来上がってたので、
高いハードルを設定するためには有用なのかもしれません。

何人かすごく感動したという人はいましたけど、これで本当に終わったんだな、ということがまず第一という感じでした。見ている人も大人になったし、当時と同じ気持ちではやっぱり見ていない。

 作品の感想に戻りますが、こんなに過去のエヴァを懇切丁寧に踏襲しなくてもよいのに、とも思いました。巨大な綾波レイが出てきたり、シンジがぽつんと海の前で座るシーンであったり、原画を使うシーンがあったり。ファンに対してとてもサービスをしてくれたなとは思います。まさに「サービス・サービス」です。

ーー過去のオマージュが多かったので、私は最後に予告編まであるのかなと少しだけ期待しました(笑)。

伊藤:でも、いつか「カラー」として、庵野監督以外でエヴァを作るんじゃないでしょうか。Qの予告でやれなかった幻の話も存在するわけですから。「カラー」として何を作っていくかとなると、エヴァというIP、ブランドがあるので、ガンダム的に作り続けるやり方もできる。それを二度と作らないというのは商売的になさそうだなとは思います。
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