「エヴァンゲリオンフォーエヴァー」 1997年発行 GAINAX公認
P77
井手
映画のラストシーンはどうだったんでしょうか、緒方さんとしては。
緒方
あれは、変な話なんですけど、アフレコのリテイクの時にようやく気持ちがつながったんですよ。
私にリテイクが出たシーンは、ラストシーンとアスカとのリビングのシーンだったんですけど。
最初、ラストシーンはよくわからなかったんですね。で、例によってアフレコ前日に聞いたんですが…。
そのシーンの前にわざわざアイキャッチが入りますよね。一応その前のところで終わりで、
最後のところはエピローグ。あれが前シーンからの続きだと考えてくれてもいいし、
その前のシーンはなかったって考えてくれてもいい。どうとでもとれるような、
でもあれしかないシーンにしたいと庵野監督がおっしゃったんです。
その時、あのシーンだけは、「申し訳ないけど、シンジではなくて、俺にシンクロしてくれ」と。
少し驚いたんですが、「じゃああれは監督のどういう気分ですか。どんな想いがあるんですか?」
って聞いたんです。それまでも、エヴァでは庵野監督と、私のシンクロ率の高さを求められてきたんですよ。
でも、庵野監督は庵野監督だし、私は私。全然違う人なんで、全く同じにはなれない。
だから、とにかく話し合って…。コミュニケーションを取ることで、私の中のシンジと、
庵野さんの中のシンジとの重なっている部分、最大公約数の部分を広げる努力をしてきたんです。