なぜエヴァは楽しまれなくなってしまったのかpart28
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・ここは、なぜエヴァは楽しまれなくなってしまったのか?
または、なぜエヴァは楽しまれてるのか?について、その理由を述べたり、議論したり、追究したり、語ったりするスレです。
思ったこと、思うことを書いてみましょう!
・雑談は基本OKだけど程々に。
・節度ある態度で楽しく!
・ここはアンチスレではないので、エヴァや他のアニメを叩きたい人は各アンチスレへ行きましょう。
前スレ&テンプレは>>2-18 女子A「あ、違うの?」
妙美「タイプSとか言ってたかな。手に入り辛いみたいよ、かなり」
女子B「どこで売ってんの?」
妙美「さあ、駅前で配ってる人がいるらしいけど」
洋次「…」 女子B「あ、違うの?」
妙美「タイプSとか言ってたかな。手に入り辛いみたいよ、かなり」
女子B「どこで売ってんの?」
妙美「さあ、駅前で配ってる人がいるらしいけど」
洋次「…」
女子A「へえ、そうなんだ」
女子B「行ったら分かるのかな、それって」 女子A「あれ、確か彼、駅前でバイトしてなかった?ねえ、知ってる?」
妙美「あいつは知らないって。そんな流行りもんなんか」
女子B「そうね。根暗だし」
女子A「ねえ、これ可愛くない?」
女子B「ああ、可愛かったね」
洋次:
俺は忙しいんだ。忙しいんだ。デートなんだ。デートなんだ。ざまあみろ。俺はデートなんだ。
デートなんだ。
妙美・女子A・B「あははははははは」 店主「いらっしゃいませー」
正美「どうだ?テストは」
美奈子「楽勝よ。遊びみたいなものだわ」
正美「君は頭がいいんだね。普通の人間より」
店主「いいねえ、若いもんは。俺も、あの頃に戻りたいよ」
洋次「あがっていいでしょうか?」
店主「デート?な訳ねえか。はははは」 洋次:
俺は忙しい。デートなんだ。そう。彼女がいるんだ、そう。
洋次「チッ」 妙美「ああ、安くしてくんない?どうせ、ただのアロマテラピーなんでしょ」
正美「こいつのおかげで、君もずいぶん大胆になったな。もっと売るんだ。今の自分に満足していない奴に」 洋次の父「洋次、模擬テストどうだった」
洋次「…」
洋次の父「分かっているだろうが、とにかく国立だぞ。もう一流は望まんが。腐っても国立だ!」 洋次の父「俺の子供なのに何故馬鹿なんだ」
洋次(小学生)「パパ…?」
洋次の父「とんだ失敗作だ」
洋次(小学生)「…」 洋次の父「偏差値が低いなら、学費も低い大学にしろ!これでお前も親孝行が出来る!いいな!」
音楽をかけ父親の怒声をかき消す洋次。
洋次「お前なんか知らない。誰だよお前。ざまあみろ。ふっ」 パソコンで美少女ゲームを始める洋次。
洋次「遅かったね」
ちさと
ごめんね、待った?
でも、ワタシ走ってきたんだよ ゲーム内のキャラ"ちさと”の服を替える洋次。
洋次「うん、すごく似合う」
ちさとがソフトクリームを食べている
@ハンカチで拭いてあげる
Aペロッとなめてあげる
Bなめるフリしてキスしてしまう
Bを選ぶ洋次。
ちさと
アッ
洋次はパソコン画面を舐め続けた。 洋次「しゅ、週に働けるの、3日だけ?」
理恵「やはり、駄目ですか?」
洋次「例えば、月、水、金なら?」
理恵「考えておきます。失礼します」
洋次「あ、君。ねえ、君…」 洋次「君、働けば?俺が何とかしてやるよ。俺、古株だからね。安心しな。いや、強引だ。それは強引だ。
俺は強引じゃないから言わなかっただけだ。普通そうさ」
妙美「彼女?菅沼、そんなしけた顔して。誰も逆ナンしてくんないって」
洋次「な、何だ。お前」
妙美「ちょいと踊り過ぎただけさ。変われるよ、これで」
タイプSを見せる妙美。
妙美「大胆にね」 パソコンで美少女ゲームをしている洋次。
洋次「小柄でスリム。抱きしめたら肋骨がきしむくらいに。君のような子、実際にいるんだね」
"ちさと"から"理恵"に名前を変える。
洋次「君は完璧さ、理恵。理恵」 キャンドルにそっとタイプSを垂らす洋次。
洋次「へへ…」
理恵の制服姿を想像する洋次。
(理恵「似合う?」)
洋次:
タイプS、俺に勇気をくれ。 『発信音の後に、メッセージをどうぞ』
洋次「バイトの菅沼です。やっぱり週何日でも結構です」 洋次はバイト先のガスコンロの火にタイプSを垂らす。
理恵「うわあ、可愛いー。こういうの着たかったんだけど」
洋次「制服、それしかないんだ」
大きめの制服を捨てる洋次。
理恵「何か、短くないですか?これ」
洋次「ん」
理恵「別にいいけど」 洋次「似合うよ。すごく似合うよ。似合うよ。似合う」 チャットをしている洋次。
トラッパ>そんなことよりタイプSの入手先教えろよ>ヒギンズ
ヒギンズ>新しいゲームを手に入れた スゴクいいよ>トラッパ
明けの男爵>またね>あ〜や
洋次「君だけに教えよう。マイ・フェア・レディっていうんだ」
トラッパ>マイ・フェア・レディ?それクラブ?>ヒギンズ
ヒギンズ>キミだけに教えよう。マイ・フェア・レディっていうんだ>トラッパ
洋次「知ってるだろ?大学教授が花売り娘をナイスな女にお育てする」
洋次は理恵の声を録音していた。
理恵
いいけど
洋次「理想はポニーテール。俺だけのうなじ。髪アップにして欲しいな。僕のマイ・フェア・レディになって」
理恵
いいけど 洋次「曲げた肘の内側に挟む感じで」
理恵「すっごーい」
洋次「後で教えるね」 理恵「えーっと、こうかな。あ、えーっと」
洋次「さっき、ライスに髪の毛入ってた」
理恵「え、私の?」
洋次「店長はパーマかけてるし、僕はもっと短いし」
理恵「ごめんなさい。次からは気を付けます」
洋次「髪アップにして欲しいな」
理恵「はい。じゃあ今度からそうします」 洋次「そういえば君、ほんとは中学生なんだって?」
理恵「どうしてそれを?」
洋次「店長や親に言ったら、どうなるかな」
理恵「お願い、言わないで!」
洋次「……」 洋次「変だと思ったんだ。学校名を間違えるなんて。深陽学園なのに、深陽高校ってさ」
理恵「学校にばれたら私。受験だし。お願い!」
洋次「髪アップにして」
理恵「え!」
トラッパ>早く入手場所教えてよ>ヒギンズ
トラッパ>それよりタイプS>ヒギンズ
トラッパ>それって大胆って言うかあ>ヒギンズ
ヒギンズ>オレって結構大胆だろ?>トラッパ 妙美「悪いね。あんたの分、ちょっと使っちゃった」
洋次「し過ぎるとそうなるのか?」
妙美「はははははは、はははははは、ははは。心配ないって。ほらお金早く」 洋次「理恵。理恵。君は野菜しか食べちゃいけないよ。そのスリムな体をキープする為にね」
@パスタ
Aチーズケーキ
B野菜スティック
Bを選ぶ洋次。 客A「へえ、何曜日に来てんの?」
理恵「えっと、月、水、金」
洋次「…」 友人A「すみません、水ください」
理恵「はい」
友人B「ねえ、藤花。知ってる?D組の霧間凪。停学中なのにまた昨日この辺うろついてたよ」
友人A「もしかしてさ、例の凪がうってんじゃない?」
藤花「まさか。霧間さんってそんな悪い子じゃないと思うけど」
洋次「ブスばっか」
理恵「ありがとうございましたー」
客A「また来るよ。理恵ちゃん」
洋次:
見るな!見るな!俺だけの理恵だ! 店主「さあ、一生懸命働いたご褒美だよ」
理恵「わあ、ラッキー。あ!」
洋次「理恵、それは食べ物じゃないよ」
理恵「…っ」
洋次「理恵、夕べは君食べなかっただろ」
理恵
私、似合う?
洋次「ああ、とっても。スクール水着だし、他のは着ちゃ駄目」
理恵「どうかしたんですか?」
洋次「あれ?まだそんな服着てるの?もう見飽きたよ。ちゃんと水着を選択しといたじゃん。俺」
理恵「あの、私、お先に失礼します!」 理恵が男と歩いてる幻影を見て倒れこむ洋次。
洋次「理恵。理恵。ぐあ…」
妙美が暗がりの中に入っていく。
洋次「くれ…タイプSを…」 正美「君は今まで自分に満足などしたことはなかった。モテたこともなかった。でも、最近は楽しいだろ?もう充分楽しんだろ?」
妙美「え」
妙美の頭が弾け飛び、それを喰らう美奈子。
洋次「くれ…タイプS」
美奈子「どうしましょうか」
正美「平気さ。もはや彼も我々のスレイヴだからな」
美奈子「ふーん。じゃあ殺す?」
正美「まだ早いよ。もっと末期的なスレイヴを観察してみたい」
美奈子「それを言うなら完成形のスレイヴでしょ」
正美「そう。現実から完全に逃避し、主体性を失い、我々のロボットのように動く。そういう奴が沢山欲しい」
美奈子「人間社会をつくり替える為に、でしょ?」
洋次「君、あれだろ?くれ」
正美「今日見たことは忘れろ」
洋次「はい」
正美「また欲しくなったら、いつでもここに来るんだな」 洋次「理恵。君は誰にも渡さない。僕だけのものさ」
男友達を消去しますか?
@はい
Aいいえ
消去するとビギナーコースになります
『男友達を消去しました』 洋次「オーケー。オーケー。分かってんじゃん。理恵」
理恵
だってえ、着て来いって言うんだもん
理恵が他の男に服を見せている幻影を見る洋次。
洋次「け、消したはずなのに、何故だ!何故だ!」 洋次「分かりました。広めます。タイプSの凄さを」
正美「誰でもよくはないが、口が堅くて、そうだ。今の自分にネガティブになっている。そういう感じ」
洋次「はい」
正美「ふっ、タイプSはシナモンのSじゃない。スレイヴのSさ。まさに」 洋次の父「お前最近顔色が悪いな」
洋次「…」
洋次の母「勉強のし過ぎですかね」
洋次の父「いや。あいつはもう勉強しとらんはずだ」
洋次の母「え」
洋次の父「見ろ。こんなものが来てたぞ!」
CG学院の入学案内書。 洋次「そう。髪を上げる時は必ず背を向けてね」
洋次の父「冗談じゃない。腐っても国立だ!」
洋次の母「でも少しは洋次の気持ちも」
洋次の父「構わん!子供は親のものなんだから!」
洋次「君は僕のものさ。ね、理恵」
理恵
宿題オシエテ
洋次「ああ。なら、僕は家庭教師って訳だね」 理恵
先生、オシエテ
洋次「リラックス。学校じゃないんだし、足組んでいいよ。可愛いなあ、君は。そんな気にしなくてもいいのに」
理恵「あ…」
洋次「勉強机のこっち側に立てば、ほら、スカートは隠れるだろ?」
理恵「は、はい…」
洋次「さあ、また座って。さあ、ここへ。さあ」
理恵「お、お願い!」
洋次「誰にも言わないよ。中学生のくせにバイトしてること」
理恵「…っ」
洋次「座り方も僕が教えたよね?足を組んで。足を」
録音した理恵の声を聴かせる洋次。
『いいけど』
理恵「…!」
洋次「さあ、今度は何を教えようかな」
理恵「あ!もういい!」
洋次「ふふ、逃げても無駄さ。君はずっと僕の手の平の上」 パソコンに向かって話しかける洋次。
洋次「そうだ。歌を教えよう。カラオケ好きでしょう?曲選んであげる」
理恵「私もう怖くて!」
店主「分かった、安心しな。彼の事はもうクビにするから」 光の柱が現れる。
洋次「理恵、さあ僕の前で歌って。あのミュージカル映画のように。
僕のマイ・フェア・レディ」 洋次「そ、そんな!」
気付くとパソコンが壊れていた。
洋次「あ…!あ!あ!あ!理恵!理恵!理恵!」
洋次の父「おい、どうした!」
洋次「てめえ!馬鹿野郎!理恵をどこに隠したんだよ!おい!」
洋次の父「何言ってるんだ!いいからここを開けろ!」
洋次「うるさい!うるさい!うるさいんだよ!消えろ!消えろ!お前が消えろ!消えろ、馬鹿野郎!」
理恵が消えていく。
洋次「うわああああああ!!!!!!」 洋次が繁華街で暴れている。
そこを通りかかる恵と美鈴。
山本巡査「森田さん。そっち押さえてください!」
森田巡査「おい、おとなしくするんだ!」 美鈴「ねえ、パヌルーって?」
恵「そうね、パヌルーってのはね」 『あの掲示板がサーバーごと潰されたって』
『またまた。どっかの陰謀系だろ、それって』
『いや、これマジでやばいらしいよ』
『それって、もしかして統和機構?』 森田巡査「まあ、そんな噂が流れてるのは一時期の事で、すぐに誰も口にしなくなるだろ」
山本巡査「ネットの噂なんて、そんなもんですよ」
森田巡査「そう、実際そこで流れた話なんて、組織の実態とはまるでかけ離れたものだった。
だがな。あるんだよ。本当にそういう組織がな」
山本巡査「よくある秘密結社とかの噂でしょ?ま、こう暇だとそんな話もたまにはいっか」
森田巡査「だがそいつらは、世界中を動かす力を持ちながらも、何をする訳でもない。ただ見てるだけなんだ」
山本巡査「見てる?」
森田巡査「そう。そいつらは、ある目的で世界を監視してるんだ」
山本巡査「はは。監視ねえ。あれ?
森田さん、この話前にもしませんでしたっけ」 藤花「んん…」
SCENE 001
宮下家
藤花「ん、んん。
おはよう、竹田先輩」 TV『今日の気温は、昨日と同じか、1、2度下がるでしょう。ただ、平年より上回る所が多く…』
藤花「おはよう」
藤花の父「ああ」
藤花の母「藤花。早く着替えなさい」
藤花「はーい」 藤花の父「また家出か。何なんだろうな、最近の高校生は。流行ってるのか?そういうのが」
藤花「流行ってないよ。そんなもん」
藤花の父「あの子は、大丈夫なんだろうな」
藤花の母「また、病気出たりして」
TV『関東地方は、午後も引き続き晴れるでしょう』 『間もなく発車致します…』
茜「おはよう。藤花」
藤花「あ、おはよう」 藤花「何か、どんどん変わってくね」
茜「何が?」
藤花「街の風景」
茜「ああ、そういうもんだよ。大人になるってのは」 作業員A「あ?何でしょうね、これ」
作業員B「あー、よく分からんが埋めちまえば一緒だ。気にすることないだろ」
作業員A「監督!こっちのが錆びてボロボロになってるんすけど!」
現場監督「搬入の時にチェックしたのかよ!」
作業員A「監督がしたじゃないすか!」
現場監督「あー、俺か。ったく!」 山本巡査「如月みお、71歳。心臓発作のようです。えっと、5年前からここに一人暮らしですね」
刑事B「一人暮らしだって?じゃあこれは?」
山本巡査「はあ、35になる娘が一人いるんですが、記憶障害とかで入院中となってまして。ただ、実はこんなものが」
刑事A「私が死んだら、孫の真名花の事を宜しくお願いします。孫がいたのか」
山本巡査「いえ、そんなはずは。入院中の娘にも子供は…。ただその娘、5年前妊娠中に熱病に侵されて、お腹の子を亡くしてるんです。
その時、脳に損傷を負ったらしく、それからずっと病院暮らしなんだそうです」
刑事B「可哀相に。母さんそん時のショックでちょっと脳槽系逝っちゃったんだな」
刑事A「しっかし寂しい最期だなぁ」
山本巡査「俺こんなの嫌だな」
森田巡査は真名花が5歳の時の写真を見つける。
刑事B「じゃあ昼飯でも食いに行くか」
刑事A「近くに何かありますかね」
刑事B「ああ、行ってみよう」 山本巡査「ネットの噂なんて、そんなもんですよ」
森田巡査「その組織の目的はな、変化の種を摘む事なのさ」
山本巡査「変化、ですか?」
森田巡査「組織は、変化が嫌いなんだ。だからそいつらは、世界を監視しているのさ。こうしてる今もな。
ところが、その変化が起こったんだよ。人類自身の身にな」
山本巡査「はっはは。森田さん、ひょっとして信じちゃってません?」
森田巡査「ふっ。ただの噂だよ」 京子「また消えたね。聖谷の子」
実咲「ああ、あれって死神に連れて行かれたんでしょ」
京子「ブギーポップ?」
和子「…」
実咲「何かね、連れてくんだって。特別な子だけ」
京子「特別な子って?」
実咲「知らない。あーあ、私も連れてってくんないかな」
京子「学校来てもつまんないしねー。霧間凪とかいたら嫌だし」
和子「…」
実咲「この頃いないよ」
京子「また何かやってるらしいよ。駅裏の工事現場うろついてるの見たって」
実咲「死体捨ててんのかなー」
和子「…」 山本巡査「ネットの噂なんて、そんなもんですよ」
森田巡査「世界を監視していた組織は、ある時、数百、いや、数千万に一人、特別な子供が現れ始めた事に気付いた」
山本巡査「特別な子。ああ、よく分からないけど、超能力者みたいなものですか?」
森田巡査「まあ、そうだな。それは進化と言ってもいい。
組織は、そいつらを見つけ次第、抹殺する事に決定した。同等の能力を持つ者を使ってな。
ヒトであってヒトでない者、組織がつくった、まあ合成人間とでも言っておこうか」
山本巡査「合成人間」
森田巡査「実はそいつらは、そこら中にいるんだぜ。知らないうちに人間社会に溶け込んでいるんだ」
山本巡査「はは、面白いや。あれ?
森田さん、この話前にもしませんでしたっけ」 和子「何が起こってたのか分からないけど、それは一ヶ月前に終わったんだと思ってた。
多分、あの光がのぼった夜。でも、終わってないのね」
凪「あんたもしつこいな。末真さん」
和子「私には何も教えてくれないんだ。今起こってる事も、5年前の事も。
5年前、私は殺人犯に狙われていた。ところが突然事件は終わって、私は助かり、真相は闇の中…。
霧間さん、ちょうどその頃病気で、1年休学してるでしょ」
凪「何でそんな事」
和子「教えてくれないから調べたの」
凪「チッ」
凪は人影を見る。
和子「県立総合病院」
凪「もう行くよ」
和子「あっ」
凪「末真さん、宮下藤花って知ってる?」
和子「え?宮下藤花って確か、C組の?名前知ってるくらいだけど、何?」
凪「いや、あんたと彼女が友達だったらどんなだろうなと思ってね」
和子「え」 山本巡査「本日の死亡、0件と」
森田巡査「その組織の網は世界中に張り巡らされている。もちろん、この街にもな」
山本巡査「え?」
森田巡査「例えば、5年前の連続猟奇殺人事件。覚えてるだろ?あれにもそいつらが関係していたんだ」
山本巡査「噂、ですよね?」
森田巡査「連続殺人が起きる数ヶ月前、合成人間をつくる過程で生まれた実験薬が紛失した。組織を裏切った男がいたんだ。
探偵をやっていたそいつは、薬を盗んで、何故かこの街の県立総合病院に持ち込んだ。
組織はすぐにそいつを殺したが、薬は発見されなかった」
山本巡査「も、森田さん。ひょっとして、信じちゃってません?」
森田巡査「組織の薬が猟奇殺人犯という化け物を生み出した可能性は高い。
だが、事件は突然終わり、真相は組織にとってもいまだ闇の中だ。もちろん、噂だがな」
山本巡査「そ、そういや、県立総合病院って、あの婆さんの記憶障害の娘が入院してる所でしたよね?確か。
いい加減な噂なんて、一杯ありますからね。まあ、たまにはこういう話もいいか。暇だから。あれ?
森田さん、この話前にもしませんでしたっけ」 和子「え」
真名花が光の蝶と戯れている。
真名花「ふ、ふふ。ふふふ、ふふ。ふふ、ふ。ああ。ああ、ふふ」
蝶に触れ、どこかへ飛ばされる和子。
和子「きゃっ」
凪「なあ、どう思う?探偵さん」
和子「え?」
慎平「さてね。なりたいものになれる人なんて、そういるもんじゃないんじゃないかな」
凪「だからって、何になりたいか、自分がどういう生き方をしたいのか考えるのは、無意味じゃないだろ」
和子「霧間さん」
転落死する男。
笑う女。
先生「先輩の子が強い子に産まれますように。ふふふ、ふふふふふ」
沢山のカメラのフラッシュ。
和子が次々と映し出されていく。
和子「やめて。やめて!やめて…」
真名花が蝶を捕まえると、元の場所に戻っていた。 和子「何なの?今の」
真名花「何なの?今の」
和子「…」
真名花は光の蝶を握りしめ、笑みを浮かべながら去っていった。 和子「あ…宮下さん」
藤花「え?」
和子「あ…」
藤花「D組の、えーと」 藤花「そっか、末真さんも冬期講習受けるんだ。良かった」
和子「何で?」
藤花「ほら、今から受験勉強すると、皆裏切り者みたいな目で見るんだもん。仲間が欲しかった訳」
和子「ああ」
『発車致します』 子供A「お爺ちゃん、あれ何あれ」
老人A「ああ、何だろうな」
和子「でも、何であんな所にいたの?」
藤花「うーん、ていうか受験勉強を前にして、自分の過去を振り返るっていうの。
実は昔、あそこにちょっとだけ通ってた時期があって…」
和子「そうなんだ。どこか悪かったの?」
藤花「それが、体じゃないんだな。まあ、いっか。末真さんになら。
狐憑き」
和子「え」
藤花「だって親は言うんだけど、全然覚えてないのよね」 藤花「私は違うと思うんだけど、だって、この現代にそんなのあり得ないじゃない。
でも、何となくその時の事は印象に残ってて、病院の建物とか先生とか、急に懐かしくなって。
ほら、この頃街の風景ってどんどん変わるでしょ?」
和子「そうね」 和子「私、本屋寄ってくからここで」
藤花「そう。それじゃあまたね。
末真さん。昔を懐かしむ事と、過去にとらわれる事は、別の次元の事だ。
街の景色が変わるように、人も前に進んでいかなければならない。君なら分かるだろ」
和子「えっと、宮下さん…?
ふふ、面白い人」 鎮「そうだ」
小夜子「お兄ちゃん!」
真名花「ふふふ、ふふふ。はは。ふふ、ははは」
プームプーム「それが君の能力という訳だね。過去を運ぶ虫か。面白いな」
真名花「面白いな」
プームプーム「さあ、おいで。僕らは友達になれるよ」
真名花「ふふ。ともだち」 『いません、どこにも!あちこち探したんですが!』
『どうしました?』
『すいません。保護されてうちに来た身元不明の娘さん。ちょっと目を離した隙に』
『何ですって!』 森田巡査「この街じゃもう一つ、組織が全貌を掴んでない事件がある。一ヶ月前の事だ。
組織の合成人間の失敗作が、研究所の連中を喰い殺して、この街まで逃げてきた。
ところが、一ヶ月前からそいつの痕跡が消えた」
山本巡査「何か、ただの噂話だと思えなくなってきたな」
森田巡査「そして、その日からこの街に異変が起きている。進化を始めた者が、異常発生しているのさ。
組織は、進化した人間を狩る為に、一人の合成人間を送り込んだ。
そうだな、名前を仮にスネークアイとしようか」
山本巡査「…」
森田巡査「そいつは、逃げた人喰いと同じく、人間を喰ってその相手に化ける事が出来る」
山本巡査「!」
森田巡査「言っただろ?合成人間は知らないうちに人間社会に溶け込んでいるってな」
山本巡査「…」
森田巡査「そうやって、新しくやってきたそいつと入れ替わる為に喰われた悲しい犠牲者は、
この街でそいつと最初に出くわしちまった不幸な警官だったって訳さ」
山本巡査「も、森田さん。何でそんな話を俺に」
森田巡査「退屈しのぎさ」
山本巡査「退屈、しのぎ」
森田巡査「そうさ。合成人間も退屈するんだ。人間的だろ?」
山本巡査「は!まさか…」
森田巡査「ああ、俺がその警官だよ」
山本巡査「あ…あ…」
森田巡査「俺の目を見ろ」
山本巡査「あ…あ…」 山本巡査「あ、あれ?俺」
森田巡査「報告書、書くんだろ?」
山本巡査「ああ、そうでした。あれ?お茶がこぼれてる。おかしいなー。俺飲んでたっけ」
森田巡査「なあ、面白い話聞かせてやろうか」
山本巡査「なんすか?」
森田巡査「ある組織の話さ。連中は、ある目的で世界を監視してるんだ」
山本巡査「ネットの噂ですか?よくありますよね。その手の陰謀系の噂。あれ?
森田さん、この話前にも」 過去は唐突に
現在を襲ってくる
必ず 記憶の痛みを伴って
霧間誠一 山本巡査「…っ。あ、う…う、うえ。はあ、はあ。も、森田さん」 医師たち「…ああ!」
検死医「眼球に前頭葉、肝臓がこれで、こっちが十二指腸」
医師「全て分解されている。人間の仕業とはとても思えない。この異常さはあれ以来だ。5年前の一連の殺人事件」 山本巡査「森田さん…」
女性「きゃあ!うわあ、きゃああ!」
山本巡査が見ると、血だらけの女性が倒れている。
そこに立つ一人の女。
山本巡査「あ…、や、や、や、やめろ!」
銃を構えて発砲しようとしたが、その女は消えてしまう。 凪「若狭静枝さん、どんな人だった?人に恨まれたりとか」
里香「静枝はそんな人じゃありません!」
凪「良かったら、話してくれないかな」
里香「明るくて、優しくて、ちょっときつい所もあったけど、でもあれは、静枝が強い人だったからで」
凪「強い?それってどういう風に?」
里香「気持ちが真っ直ぐって言うか…」
凪「精神的に強かった、頼り甲斐があった、とか?」
里香「う…」 幸子「里香さん、って仰いましたね」
里香「ずっと交換日記をしてたんです。静枝さんとは。引っ越しされると聞いて」
幸子「それは、ご丁寧に」
里香「本当は迷いました。お母さまに見せて良いのかどうか。お互い、悩みを書いていましたから、あの…」
幸子「ええ、解っています。それも思い出ですから」
里香「それでは、お元気で。知ってます?この頃街に、過去が蘇るって」
幸子「え?」 幸子「静枝…許して」
(静枝「触らないで!」)
❝里香んち来るの?
授業参観?うち、きっと
両方くるよ。でも、なんか
本人たち、デートみたい。
何着てこーかとか言ってんの!❞
幸子「ん?」
❝ごめんね。
心配かけて、ごめん。
今日これしか書けない。
涙がとまったら、
ゆっくり話すから。❞
幸子「…っ」 静枝「う…う…お父さん」
幸子「いつまで泣いてるの?勉強の時間よ。私も、一緒にやるから」
静枝「…」 ❝本当に泣いてはいられなかった。
すでに母は、
保険外交員の職をきめていた。
もう私の前で涙をみせず、
幸子「じゃあ、チンすればいいから。行ってきまーす」
静枝「行ってらっしゃい」
父が死んでから一週間。
まだ私は受験の問題集すら
開いてないというのに、
その日、私は、初めて
母親に作り笑いを
した。❞
幸子「ん…?あ!」
静枝の幻影を見る幸子。
気付くと消えていた。 SCENE 004
5年前
県立総合病院 精神科診察室 真希子(女医)「でも、自宅で産むなんて、ほんとマイペースな真弓さんらしいわ。
高校時代からちっとも変わってませんね」
真弓「マイペースって言うか、病院だと色々詮索されるでしょ?」
真希子(女医)「シングルマザーって事?そんな、今時よくある話ですよ。それより、どうです?
イライラとか、メンタルな部分の具合は?」
真弓「おかげさまでそっちは平気よ。この間真希子が打ってくれた注射が効いたのかもね」
真希子(女医)「そう。なら全ては順調って訳ですね」
真弓「ただ、昨日辺りからちょっと痛むのよ。陣痛にしては早い気がするし」
真希子(女医)「たまにそういう人もいますわ。平気ですって」
真弓「…」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています