家族を巻き込む必要など、無いのだ。

たとえ、奴がどんなに家に来たいと言っても。

もっとも、三度も訪問すれば十分だろうと思った。

いくら家庭の味に飢えているとはいえ、気を使うだけでそんなに楽しいものでは無い筈だ。

(それに、変な事を香奈子に言われても困るしな・・・・)

このところ帰宅が遅くなる事が多い晴彦は、少し後ろめたさを感じていた。

だが幸いにも、妻は不機嫌な素振りは見せてはいない。

内心では穏やかでは無いかもしれないが、しっかりした性格の香奈子は決して自分を責めたりはしないのだ。

それが晴彦にとって良い反面、息苦しく思う時もあったが。

「今日は学校を休んだら・・・?」