問題は、他人と運命共同体になってしまうと言う点。人間は老化する。これは
家族も一緒。若夫婦に小さな子供が2人とか永遠に家族構成が変化しなければ問題は
少ないが、現実はそうではない。離婚、失業etc、人生どうなるかわからない。100
世帯あれば、100通りの未来があると考えた方がいい。
全世帯に明るい未来が待っていて、経済的に何の問題も無く、子供は全員進学して
全員まともな職に就き、入居夫婦は人生の最後までそのマンショに住み続け、死後は
子供夫婦がその部屋を相続して引き継ぎ、そのまま住み続ける。
ほぼあり得ない話しだろう。

自分はしっかりやっていても、富裕世帯は建物が劣化する前に出て行ってしまうかもしれない。
転勤を機に賃貸として家を貸し出す世帯もあるだろう。経済的に行き詰まり、管理費や修繕積
積み立て金を滞納する世帯があるかもしれない。老夫婦が亡くなり誰も相続人がいない場合
だってあるかもしれない。分譲マンションにとって致命傷となる放置空き部屋が絶対に出ない
保証はどこにもないのだ。
適当な管理組合運営の隙を突いた積み立て金搾取事件も多発している。
要するに分譲マンションは、経年居住リスクが非常に大きく、終の住処とするには不適当
な物件だと言えると思う。いつでも脱出可能な富裕層はともかく、劣化した建物に残された
世帯は悲惨だ。この巨大な建造物をどうするのか話し合いで決めて行かなければばならない
からだ。分譲である以上、この問題は子供世代にも引き継がれる。
恐らく結論を出すには気の遠くなる様な根気が必要になるだろう。誰かがやってくれるだろう
と思っているなら大きな勘違いだ。不動産の購入は、居住権利を得ると同時に建物の管理義務
が生じるという事を認識していない人があまりにも多い。

自分は死ぬから関係ないとか、行き詰まれば国が助けてくれるとか無責任な事を言う輩も
少なからず居る。しかし自分さえ良ければ他は関係ないと考えた報いは案外大きいと思うぞ。