楽待新聞編集部は、販売会社の元締め的立場だった会社が、ある物件の資金の流れについて販売会社に指示する
内容の資料を入手。スマートデイズなどに2億円の損害賠償を求めて提訴したオーナーの代理人・加藤博太郎弁護士
の解説を基にこのスキームの裏側にあるものを考えてみる。
加藤弁護士がスマートデイズ役員から得た証言によると、まず物件価格は「年収800万であれば9200万」
「年収1000万であれば1億2000万」といった形でトータルの金額を先に決め
賃料相場などに関係なく利回り8、9%になるように逆算してサブリース賃料を設定していたとされる。
「これによってサブリース賃料が実際の賃料と大きく乖離することになるので
最初から早期破綻が見えていたスキームだったといえる」(加藤弁護士)
加藤弁護士によると、土地は仕入れ価格に多額の利益を上乗せした額でオーナーに売りつけ
建物の建築請負契約ではスマートデイズが実態のないコンサルティング契約を建築会社と結び
多額のキックバックを受け取っていたとみられる。「土地の金額の多寡によって
建物の方の利幅を調整する仕組みで、建築費のキックバックは物件によって
30〜65%程度で変動していたようだ」
入手した指示書は、都内で昨年建築されたかぼちゃの馬車の資金の流れに関する内容。
物件価格は約9000万円で、そのうち土地は約6000万円でオーナーに販売していたが
登記情報や路線価などから推測すると、仕入れ値は3000万〜3500万円程度と考えられる。
つまり、オーナーは実勢価格の2倍近い値段で購入していることになり、加藤弁護士は
「そのほかの物件でも、土地の購入額が査定価格の2倍程度になっているケースが多い」
と指摘する。加藤弁護士の見立てによると、本来は土地3000万円程度+建物1500万円=4500万円の物件を
約2倍となる9000万円でオーナーに販売。水増し分はスマートデイズに
建築費のキックバックとして1500万円、販売会社に手数料名目で500万円(物件価格の約5%)
販売会社の元締め会社や同社が指示する会社に2500万円程度が渡っていた可能性があるという分析だ。