わが社名を公表できないのは
競売妨害が入るからだ。
事件屋に入られると困る。
それ故、競売は誰が応札したか分からない様になっているのだ。
競売は債権者様の最後の手段。こける訳にはいかない。

今でも債権者様はアルカディアの改心を待っている。
入札までまだ時間がある。
その間に、オーナーチェンジに応じてくれるなら
競売は取り下げると言っている。
私には商売にならないが、気持ちも分かる。

しかし、資料を読む限り
アルカディアが譲歩するとは考えられない。

債権者様は「詐害行為取消訴訟」で勝訴した。
それも弁護士なしで。
ただの「貸金返還訴訟」ではない。
「詐害の意図」、「受益者の悪意」等々
立証の困難な難しい裁判を闘ってこられた。

貴殿の馬業界に対する知識には敬服するが
本件は、ボスと麻理子の人格信頼が基礎であるから、
アルカディアが馬術業界でなくても発生しただろう。
麻理子がF1レーサーでも同じだ。

それ故、その面の知識に疎い。
故に、貴殿の知識に及ばない。

しかし、債権者様にとって今重要な事は
「馬」ではないのだ。
ボスと麻理子の人格なのだ。

「俺が落札してアルカディアに貸すのはどうか?」
「やめとき。また、裏切られる」

競売となった今でも、債権者様は私には生ぬるいと思う。
それ故に、ボスや麻理子の人格を信用していたんだと思うのである。