最初に貸した2,000万円は契約書を書いた。
すぐに、「後、5,500万要る」、「1億貸せ」と言ってきた。
「今すぐ要る。契約書は後で書く」
信じて貸した。
「金を貸したら、心配だろうから経理を見ろ」
顧問契約をした。
2社2期分、4つの決算を必死で仕上げた。
報酬がなかった。
経費も立て替えたままだった。
2,000万以外の契約書も、
「俺とお前の関係は紙で書くことじゃねえよ」
晴彦と麻理子はそう言って、だらだら時を稼いだ。
債権者様は、決算を仕上げて報酬も経費もないので神戸に帰った。
失意のうちに。

「債権者様は逃げた」
晴彦は非難した。
債権者様は、平身低頭に契約書の作成を頼んだ。
「なんだ?この強制執行ってのは!」
晴彦は、契約書を破り捨てた。

平成12年8月
債権者様はアルカディアを仮差押した。
この時、節子の名義の仮登記が債権者様の融資で購入した土地に設定されていた。

「話し合おう・・・な」
晴彦が秋波を送ってきた。
「債務者は麻理子も入ってもらいます」
「いや、理佳だ。社長だからな」
「嘘の公正証書は困ります」
「俺が納得すれば嘘ではない」

平成13年2月
公正証書がようやくできた。
晴彦・理佳・ウエスタン・ライディングが債務者となった。