東京大学などの研究チームが、たくさん枝分かれした体を持つ新種の生き物を日本近海で発見した。特徴的な見た目から、映画「ゴジラ」シリーズに登場する三つの頭を持つ怪獣にちなんで「キングギドラシリス」と名づけた。研究チームは「生物学の常識を逸脱する生物」としている。

【写真】ティッシュの空き箱を組み上げて作った高さ6メートル超のキングギドラ=2021年、愛媛県四国中央市

 新種は細長い体を持つゴカイやミミズなどに近い環形動物「シリス」の仲間。白っぽい色で、大きさは一番長い部分で数センチ。頭はひとつしかないが、体の途中から、尾が何本も枝分かれして生えており、左右対称ではないのが特徴だ。

 2019年に東大や新潟大などのチームが佐渡島南部で潜水調査した際、水深十数メートルにあるカイメンの中にすみついているのを発見した。カイメンの体から多数の尾が出ていた。

 シリスの仲間は、尾の先にある生殖器官が切り離されて海中に泳ぎだし、繁殖する習性がある。多数の尾から生殖器官を切り離すことで、効率的に繁殖できるメリットがあると考えられている。

https://www.asahi.com/articles/ASQ1N5R87Q1NULBJ01B.html