>>989
おさびし山の方が辛いぞ(笑)


「スナフキン…でも…」 

ムーミンは恥ずかしそうにうつむきます。 

しかしスナフキンは、ムーミンの肩を優しく撫でながら 

「おさびしやまの雪が溶けるのを見たことがあるかい?」 

ムーミンが思わず 

「おさびしやまの雪が?」 

と答えるやいなや、スナフキンの手がムーミンのしっぽを柔らかく撫でました。 

甘美な痺れに、ムーミンは思わず声をあげますが、階下のパパやママのことを思い出して、手を口に当てました。 

「ほら、もうこんなになってるじゃないか、ムーミンのおさびしやまが」 

ムーミンは体をよじって逃げようとするのですが、スナフキンの細くて鍛えられた腕につかまれて、逃げることができません。 

「ムーミン? おさびしやまの雪を溶かしてみるかい?」 

スナフキンがムーミンの目を見つめています。 

ムーミンもスナフキンの目を見つめています。 

二人の眼の中に、二人だけが映っています。 

ムーミン谷に、秋の風が吹いていました。