関東大地震の前兆現象
亀井義次著「地震の起こるとき」から

大正12年9月1日11時58分相模湾海底で地震発生。
地震の規模が大きいのに比例し、異常も数ヶ月前から各方面で発生。
相模灘海底で数10〜300mもの隆起および陥没が発見されたが、これは地震時に生じたのではなく、地震前に生じていたらしい。
三浦半島、房総半島では住民が「年々浜が減少していく」と述べていた。
3月〜4月ごろ
鎌倉、藤沢あたりで毎夜大砲を撃つような音が聞こえ、ガラス戸が破れんばかりの振動を
受けた。大島の噴煙は火柱となり、夜間は殊に美しかった。
5〜6月ごろ
5月下旬から6月初旬の間、水戸・銚子で有感地震急激に増加、いったん収まり、9月1日相模湾で大地震発生。
山中湖の湖水が全面的に濁った。精進湖は6m位減水した。
翌年1月15日の地震にも東側3分の2が濁った。
南葛飾でネズミの集団移動があった。
7月
練馬石神井でネズミの集団移動があった。
8月
大根、ナシが大豊作。地熱の影響か?地震被災後、ナシを食べながら親戚の家まで歩いた。
イネがいつもの年より草丈が伸びず、10日も早く黄金色に実っていた。以後、こんな異変はただの一度もない。
伊東市で漁具がまったく売れなくなった。相模湾でまるっきり魚が取れなくなったので漁具も不要になった。
海の中が濁ってあぶくが吹いているようだった。
川崎市北端の耕地付近の水田や小川で非常に多数の小ナマズが繁殖した。この様なことはこれ以前、以後一切ない。
川口市で、震災の起こる前ナマズが非常に繁殖した。古老は地震の前後、地熱の上昇でナマズが繁殖するのではないか
という。その後このようなことは無い。
品川猟師町(現在の品川1丁目)で井戸水が涸れた。安政の大地震の前にも涸れたので調べてほしいと通報があった。
大地震後は復旧した。(現在この井戸の所在不明)
この井戸の西方数百メートルの春雨庵という寺で、20m離れて2つある井戸の丘側(八ツ山)の境内の井戸水が鉄臭く
煎じ薬のようなにおいがして飲めなくなった。地震後しだいに回復した。
現在も北品川4丁目春雨寺の境内にあるが、工場排水の影響かアンモニアが多く飲用には使用していない。
この井戸の水位の増減やにおいがあれば要警戒か。
2週間くらい前
伊豆半島で海女が海底から盛んに泡が立ってるのを見た。その後、あわびが岩に硬く吸い付いて容易に取れなくなった。
木更津浜で局所的に、くみ潮現象(満ち潮の途中に30分〜1時間急に潮が引く。引き潮の途中に
30分〜1時間急に満ち潮が混じる)が発生した。
隅田川でメダカやフナがたくさん水面に浮かび、パクパクしており、素手ですくい上げることができた。
浅草三筋町で、イヌが2週間前からあちらでもこちらでも遠吠えしていた。
近所の人たちは何か変事があるのではないかと気持ち悪がった。(別の地域でも同じ報告あり)