一本松 第2の人生…南相馬

東日本大震災の津波で被災した南相馬市鹿島区の防災林で唯一残りながら昨年末に伐採された
クロマツ「かしまの一本松」が、表札に生まれ変わって、かつての住民らへの配布が始まった。

地元住民らでつくる「かしまの一本松を守る会」のメンバーが、古里の姿を思い出すきっかけにしたいと、
伐採した一本松を表札に加工しようと考え進めてきた。
地元の製材業者らに依頼し、マツクイムシ被害部分を除いたところ、表札153枚分がとれた。
名入れは福島市の職人が担当。今月には最初に注文した36枚が完成した。手にした守る会の会長、
五賀和雄さん(77)は「思いが形になった」と喜び、新たに注文を受けた77枚を追加で発注。10月中にも完成する。

一本松の松ぼっくりから種を取り出し、後継木を育てている南相馬市鹿島区北海老、
守る会会員の荒新一郎さん(73)も表札を受け取った一人。25日に約30年使い続けた表札を掛け替えた。
荒さんは「木が生きていた時に手入れをしたことを思い出す。どんな形でも残ったのはうれしい」と笑顔を見せた。

一本松は高さ約25メートル、太さ約2メートルあった。唯一残ったが、震災後約3年後から勢いがなくなり、
守る会が栄養剤の散布や土壌改良を行ったが立ち枯れた。一帯が県による防災林の整備計画が進み、昨年末に伐採された。

https://www.yomiuri.co.jp/local/fukushima/news/20180926-OYTNT50031.html