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「日本語通じない若者」どんどん増えてる根深い訳
スマホ社会の現代日本。
若者たちは黙々と動画やゲームの画面と向かい合い、用事は絵文字を含む超短文メールを素早く打つばかり。
時間を割いて他人と会って話すのは「タイパが悪い」とすら言う彼らと、「生きた」日本語の距離がいま、信じられないくらい離れたものになっています。
言い換えるならそれは、年配者との間の大きなコミュニケーションの溝。「日本人なのになぜか日本語が通じない」という笑えない状況は、もはや見過ごせませんが、「その日本人同士と思うところが盲点」と、話すのは、言語学者の山口謠司氏。
本来、同じ言葉を話し、長らく同じ時代の同じ社会で生活してきた者同士は、そうした指示語が何のことを言っているかを、自然に察知することができます。
ところが、そうした暗黙の了解は、今の若者には通用しません。
「500円弱」は、500円より少し多い額?
たとえば「500円弱」と聞いて、「500円より少し多い額ではないか」と思う若者がいるようです。
「えっ」と驚く方もいるでしょう。
耳を疑う話ではありますが、「弱」=「少し多い」という意味に捉えている現代の若者が少なからずいるのです。
すなわち「500円弱」なら「500円+弱」であり、さしずめ510円とか520円といったところでしょうか。
「若者と言葉」について最近行った調査結果によれば、たとえば「7割弱」のことを「70%以上」とした回答が、20代では19%あったそうです。では、「7割強」をどう解釈しているかというと、若者全体で「75%〜」という、ややオーバー気味の答えが目立ったといいます。
「〜弱」や「〜強」という言い方も、若者にはあまりなじんでいないのは事実のようですが、いずれにせよ、間違いはきちんと正さなければなりません。
500円弱とは、500円に満たない480円とか490円などのことだと、誰か大人は教えてあげるべきです。
実は、似たような例が、時間の解釈関係でもう一つ存在します。
【時間における若者の解釈:
推理クイズ】
問:「6時10分前」を5時50分のことだと思っていない若者がけっこういます。では、何時何分を意味していると思っているのでしょう。
解答: 「6時8分、あるいは9分」
つまり「6時10分の『少し前』」と捉えている。