学校では変わらずトップ層でも、塾に行けば校舎内で最下層。周りに追いつく必要があるため、落ち込む暇もないほど勉強に追われる毎日でした。そうして数カ月間辛酸をなめ続け、なんとか受験者の中間層となる偏差値50前後に届くように。

「中学受験ですべてが決まるわけではありません。少なくとも、大学受験あたりまでの長期的なプランニングを考えておいたほうがいいです。目的の大学へのルートという狭い考え方でなく、将来どういう人生を送ってほしいかという見方をしましょう。
 ただし、世の中はどんどん変わっていくため、残念ながら今の親御さんの想像はほとんど当てにならないと思います。そのため、どういう世の中になったとしても、自分の力で考えて道を切り開いていける素地をつくることが一番重要です」

 そのような“素地”とは、どうやってつくっていけるものなのでしょうか。

「素地をつくることを目標とし、そこから逆算をして中学受験を捉えてみてください。すると、中学受験で何を培うべきなのかがみえてくるでしょう。培うべきものは、子どもなりにある程度努力できたという満足感と、たくさんの小さな成功体験です。『自分は頑張ればできるんだ』という自信を培うことが、中学受験の本当の意味合いです。