おはようございます

題 海峡を渡る

小学校勤務の時、青森県まで行ってみようと思った。所持金は多めに見積もって2.5万円。奥入瀬渓流トレッキングのためである。
十和田湖について、青森のねぶた祭りやら工芸品やらを見てくるつもりだった。温泉もある(混浴?)日が明るいうちは大丈夫だろうという予測のもとに、荷物を詰め、私は青森県までは辿り着いた。
夏休みのことである。燦々と照る太陽のもと、1人、豊かな自然を堪能した。夕闇日没深夜ころホテルで一泊した。
フェリーは行ってしまった。汽笛の音を聞きながら、私はこの先は行きたくないと思った。

母が読んでいた小説の舞台だからだ。
『氷点』である。