高校講師は「72歳」 教員不足で激化する「シニア人材」争奪戦
2023/9/24 10:00

教員の長時間労働やなり手不足が全国的な課題となるなか、正規の教諭をカバーする高齢の講師の存在感が大きくなっている。
講師の確保は各学校の裁量に委ねられており、講師確保は学校間の争奪戦の様相という。その結果、70歳以上の講師も少なくない状況で、福岡県教育委員会は教員免許を所持しながら教職に就いていない「ペーパーティーチャー」のスカウトに乗り出すなど人材開拓に力を入れている。

福岡県内の県立高校で常勤講師として教壇に立つ72歳の男性は一般の教諭とほぼ同じ週18コマを担当し、副担任や部活動の副顧問も請け負っている。
勤務時間は午前8時から午後4時半までだ。(略)
教員は定年後、希望すれば65歳まで再任用され、その後は講師として登録できる。
男性は65歳まで教諭として勤務した後、管理職になった同僚から「空いていたら講師としてきてほしい」と請われた。
(略)
高校だけでなく小中学校を含めた教員不足は常態化している。
文部科学省が3年度に実施した教員不足の実態調査では、全国の公立校で始業日時点で計2558人が不足し、不足に陥った学校の割合は小学校が4・9%、中学校が7・0%、高校が4・8%に上った。
特に九州は小中学校の不足率が高い傾向にあり、小学校での教員不足率は熊本県が全国ワースト2位、長崎県が同5位、福岡県は同6位。中学校では熊本県が同1位、長崎県が同2位、福岡県が同3位となっている。
文部科学省の担当者は「講師を含め教員不足は全国的な課題で、退職後に勤務を続けている人も一定数いる。
教師の魅力発信や勤務環境の改善のほか、教員免許を持っている人で教壇に立っていない人を学校現場とマッチングするなどの取り組みを進めている」としている。
https://www.sankei.com/article/20230924-OY4XHQVBTRJXVEHZ5XW63GX7CE/