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公務災害認定:女性教諭が過労自殺、両親が申請

 仕事の過労とストレスで抑うつ状態になり、今年5月に自殺した東京都新宿区立小学校の新任女性教諭(当時23歳)の両親が24日、公務災害認定を申請した。
教師の仕事量が近年増加しているとの指摘があり、精神性疾患で休職する教師も増加している。
両親は「職を全うしようとしたからこそ倒れたということを証明したい」とした。

 弁護士によると、今年4月から女性教諭は小学2年(児童22人)のクラスを担任。担任業務のほか、学習指導部など複数の職務を担当。
区の新任向けの研修をこなし、授業の準備やリポート提出に追われていた。
土日出勤も常態化し、時間外労働が1カ月130時間を超えていたと推定されるという。

 また、4月から5月にかけて、指導方法を巡り保護者とやりとりを繰り返し、対応に悩んでいたという。
しかし、1学年1クラスのため、同学年内に新任教師に対する指導担当教員がおらず、十分な指導が受けられないと周囲に漏らしていたという。

 教諭は5月に抑うつ状態と診断され、同月下旬に都内の自宅で自殺未遂を起こした。さらに同31日に自宅で自殺を図り、6月1日に死亡した。
自宅に残されたノートには「無責任な私をお許しください。全(すべ)て私の無能さが原因です。家族のみんな ごめんなさい」と記されていた。

 女性教諭の両親は「教壇に立つことを夢見て、誠実さと優しさと使命感に満ちあふれた若い人材が二度と同じ道を歩むことのないことを切に望んでいます」とコメントした。

 文部科学省の04年度までの調査では、全国の公立学校教職員らの病気休職者のうち、精神性疾患数は10年間で約3倍増となっている。
95年度1240人だった精神性疾患の休職者は年々増え、04年度3559人で全休職者に占める割合は56.4%となった。

 ▽両親の代理人を務める川人博弁護士の話 新任教師にとって単学級でのクラス担任の仕事は負担が大きい。
また、校長などのしっかりしたサポートがなかったことが、自殺の原因とみられる。
多くの教師が家庭や地域の教育力の低下により、過重労働の上にストレスを抱えている。対策を急ぐべきだ。
毎日新聞 2006年10月24日
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20061025k0000m040084000c.html