世界一忙しいとされる学校の先生の「働き方改革」に向けて、
中央教育審議会が1月末、答申をまとめました。文部科学省も、
公立学校教員の勤務時間に上限を設けるガイドラインを策定。
これを受けて、ますます各地で学校の業務や勤務時間を削減する取り組みが
加速していくことは確実です。どう受け止めればいいのでしょう。

勤務時間の上限は民間と横並び

議論の発端は2017年4月、公立の小学校で約3割、中学校で約6割の教員が
「過労死ライン」を超えて働いている(週60時間以上の勤務)という過酷な
勤務実態が、文科省の調査で明らかになったことです。

折しも「一億総活躍」を掲げる安倍政権の下、政府を挙げて
「働き方改革」に取り組んでいた時期です。同年6月、松野博一文部科学相(当時)
は中教審に「学校における働き方改革」を諮問。中教審は2カ月後の8月に
「緊急提言」、12月に「中間まとめ」を公表し、文科省も緊急対策をまとめるなど、
できるところから早急に改革を進めるよう都道府県教育委員会などに促してきました。

教員の勤務は従来、出勤簿の他、管理職などが校内の状況を見て把握する程度に
とどまっていたのが実態でした。そこで中教審は緊急提言で、
タイムカードなどにより勤務時間を正確に管理することを要請。
中間まとめでは、これまで範囲が曖昧なまま学校が担ってきた14の業務について、
(1)基本的には学校以外が担うべき業務(登下校指導など4業務)、
(2)学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務(部活動指導など4業務)、
(3)教師の業務だが、負担軽減が可能な業務(給食指導、成績処理など6業務)……
に「仕分け」。答申では、文科省ガイドラインに沿って、国公私立を問わず
勤務時間削減に取り組むよう求めました。

一方、ガイドラインでは実際の在校時間から定時の勤務時間を引いた時間
(民間企業の残業時間に相当)が月45時間、年360時間を超えないようにするという
上限の目安時間を定めましたが、これは民間企業と横並びにしたものです。