社会 2017年9月1日 朝刊
 いじめなどの悩みを抱える子どもたちはどうすればいいのか。命を守るために保護者や教員は何ができるのか。
多くの学校で2学期が始まり、子どもの自殺が1年で最も多い9月1日を前に、
教育評論家の尾木直樹さん(70)に子ども、親、先生へのメッセージを聞いた。(井本拓志)
 一学期にいじめられたり、トラブルがあったりした子どもたちへ。
今日、朝から頭痛がしたり、玄関で動けなくなったりしたら、学校へ行かなくていい。「緊急避難」してください。
 ここで学校に行かないのは、逃げではありません。災害と同じように、命を守るために避難する正しい行動です。
学校へ行かないことに後ろめたさを感じる必要はありません。
 やましさを感じたとしても、命さえあれば後からなんとでも挽回できる。自分で命を落とすことだけは、してはいけません。
 学校へ行かない時間は、例えばボランティア活動に参加したりして、新しい人間関係、新しい目標をつくることも大切です。
 保護者は今日、学校から帰ってきた子どもの様子に特に気を配ってほしい。
「どうだった?」「何かあったら言ってね」と声を掛けてほしい。そして元気なうちに「学校を休んでもいいんだよ」と言ってあげて。
追い詰められ、判断力が落ちてからでは遅いのです。
 自殺した後、周囲が「普段と変わらなかった」と言うことがありますが、そんなことはあり得ません。
友人や祖父母など、誰かに「死にたい」とつぶやいたりしていたはずです。
冗談めかしているかもしれませんが、聞いた人は親や先生に必ず相談してほしい。
 先生たちは、一学期にあったいじめやトラブルが解決したと思っていても、被害、
加害双方の子どもの顔色をしっかり見てください。
被害者側には「先生は味方だ」と伝える。加害者側には
「一学期のようなことをなくすためにどう考えていますか」と聞くと同時に
「先生も全力で応援する」と伝えてください。

http://amp.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201709/CK2017090102000121.html