・新1年生のクラス編成を5月に行う小学校が出てきた。基本的な生活習慣を身に
 つけないまま入学した児童が、授業中に勝手に席を離れたり、騒ぎ出したりして授業が成
 立しない事態を招く「小1プロブレム(問題)」対策の一環だ。集団生活になじませる
 期間を与え、スムーズに小学校生活に移行させる狙いがある。

 多くの小学校が新入学児童のクラス編成作業に追われる3月中旬、神奈川県秦野市の
 市立鶴巻小学校では、新1年生約140人のクラス分けがほぼ終わっていた。
 「つき」「ほし」「そら」「にじ」の4クラス。実は、生年月日で機械的に振り分けた“仮の学級”だ。
 1年間を過ごす正式なクラスは、約1カ月間子供たちの様子を見て5月に決める。

 昨年度から始めた取り組みの大きな狙いは、教育関係者の間で叫ばれている「小1
 プロブレム」の解消だ。「(6歳までに身につけるべき)基本的な生活習慣が備わって
 いないため、45分間の授業に耐えられず、勝手に席を離れたり、話を聞けない子供が
 増えた。児童の性格をじっくり見たうえでクラスを編成する必要があった」と、島田利子
 総括教諭は説明する。

 4月は“研修期間”と位置づけ、集団生活を身につけさせることを主眼に置く。担任は
 固定せず、教師4人が日替わりで仮のクラスを受け持つ。
 保護者や地域住民のボランティアが教室に常駐し、担任をサポートするのも特徴だ。
 勝手に教室を離れてしまう子供を座らせたり、洋服のボタンをうまくとめられない子の
 着替えを手助けすることもあるという。

 鶴巻小がモデルにしたのが、相模原市立富士見小だ。平成15年度から同様の取り
 組みを行っており、全国の教育委員会や小学校からの視察は絶えない。
 とりわけ目を引くのは時間割だ。入学後は1、2週目とも1時限目は音楽で2時限目は
 国語。みんなで歌を歌い、お話を聞くことから1日の学習が始まる。
 「幼稚園や保育園の延長のようなプログラムなので、スムーズに小学校生活に入れる。
 落ち着かない子供たちが近年増えているが、取り組みを始めてからは『授業が成立
 しない』といったトラブルは1件もない」と、矢野英明校長は話す。(抜粋)
 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/45056/