0141名無しさん@お腹いっぱい。
2018/09/07(金) 20:55:39.24ID:VjWfVYx60◆救助と市民生活の復旧が急務だ◆
電力や水道の供給が広範な地域で停止し、交通網が寸断された。自然災害に対するインフラの脆弱くさが浮
き彫りになったと言えよう。
激しい揺れが未明の北海道を襲った。南西部の胆振地方が震源で、厚真町では震度7を記録した。被害の実
態が不明な地域も少なくない。状況を把握し、救助を急がなければならない。
◆非常燃料の確保が重要
多くの人が死傷した。震源の近くでは、大規模な土砂崩れがあちこちで起き、行方不明者が出ている。住宅
倒壊も相次いだ。
依然として、大きな余震が頻発している。沈静化するまで1〜2週間は警戒が欠かせない。
自衛隊や警察、消防、海上保安庁が計2万人を超える態勢で救命・救助活動を進めている。
政府は、首相官邸の危機管理センターに対策室を設置した。関係自治体と連携し、市民生活の復旧に全力を
挙げてもらいたい。
深刻なのは、道内のほぼ全域が停電に見舞われたことだ。
300を超える病院が停電した。災害拠点病院の多くは自家発電で対応したが、外来患者の受け付けを休止
したところもある。長期化すれば、手術や人工透析などに影響が出て、生命に危険が及びかねない。
非常用電源の燃料確保が極めて重要になる。病院などに優先的に供給したい。電力会社は電源車の派遣を急
がねばならない。
交通網も広域でマヒした。道内全域で新幹線や在来線が運転を見合わせた。新千歳空港では全便が欠航し、
高速道路や多くの一般道で通行止めが続く。
スーパーやコンビニには、生活物資を求める長蛇の列ができた。震源に近い苫小牧市の周辺には、自動車メ
ーカーなどの工場が集中する。操業停止による経済への打撃が懸念される。
避難所でも自宅でも、多くの人が停電の中、一夜を過ごすことを余儀なくされた。
テレビが見られず、一部では携帯電話もつながりにくくなっている。自治体は、生活に必要な情報が被災者
に届くよう、工夫を凝らす必要がある。
長時間にわたり大規模な停電に陥ったのは、道内の電力供給のほぼ半分を担う苫東厚真火力発電所が緊急停
止したのが発端だ。
◆電源構成に偏りがある
北海道電力の管内にある発電所は一時、全て停止した。
発電量と消費量のバランスが大きく崩れて、電気の周波数が急激に変動し、発電設備が損傷するのを防ぐた
めだ。広域的に電力供給が止まった今回の事態には、やむを得ない面もあった。
2003年の米カナダ大停電でも、被害地域はニューヨークを含む広範囲に及んだ。
北海道電は、道内の一部の発電所の稼働を始めた。地域ごとに順次、電力供給を再開する。
本州と北海道をつなぐ電力連系線を通じて、他電力からも60万キロ・ワットの電力融通を受ける。7日中
に約300万キロ・ワットの供給力を確保できる見通しという。
北海道の電力需要は、5日のピーク時で380万キロ・ワットだった。供給力は依然、足りない。暖房需要
が多い冬季なら、状況はさらに厳しかっただろう。
世耕経済産業相は「全域の復旧まで、少なくとも1週間以上かかる」との見方を示した。経産省は供給を再
開した地域に対し、節電を要請している。
問題は、道内の電力を苫東厚真火力に頼り過ぎていたことだ。
東日本大震災後に停止された泊原子力発電所の3基が稼働すれば、供給力は200万キロ・ワットを超える。
原発が稼働していないことで、電力の安定供給が疎かになっている現状を直視すべきだ。
◆地震リスクを忘れるな
今回の地震は、内陸の断層がずれ動いて起きた。北海道太平洋側での発生が懸念される巨大地震とはメカニ
ズムが異なる。
活断層が見つかっていない場所で、これほどの地震が起きるのは想定外だったという。震源が約37キロと
深かったため、広い範囲で強い揺れが観測された。
6月の大阪北部地震も不意打ちだった。国内のどこでも地震リスクがあることを、改めて思い知らされる。
防災態勢の強化へ、不断の取り組みが求められよう。
監視網の強化が欠かせない。震度計の不具合が、今回も広い範囲で起きた。「震度7」だったことは、発生
から半日後に確認された。震度計の総点検が大切だ。
災害列島に住んでいる現実を忘れてはならない。
2018年09月07日 06時00分 読売新聞