今晩の話題 (2007年2月28日 夕刊 1面)

「気ままなヨットマン」
 与那国島の居酒屋で米国人のヨットマン・ボブさんと同席した。片言の英語と日本語で、どうにか
会話は成立し、楽しいひとときを過ごした。

 ヨットはサンフランシスコを出発。大阪から瀬戸内海を通って沖縄へ到着した。宜野湾マリーナか
ら久米島、池間島、多良間村の水納島と小さな島を回り、与那国島に立ち寄ったと言う。

 ボブさんにとって沖縄は二度目だ。四十年前、エンジニアとしてキャンプ・シュワブに勤務してい
た。にぎやかだったころの辺野古は多くの飲食店が並び、その従業員がバスで近隣から大勢やって来
たものだと振り返る。

 慰問コンサートで各地を巡回した。当時の様子をよく覚えていた。国頭村宜名真で沖縄そばを注文
した外国人にスプーンが渡されたこともあった。沖縄は美しく、とてもフレンドリーな島だという。

 四十年の歳月はあまりにも長く、今では高いビルの間をモノレールが走る。風景は予想以上に変わ
っていたが、いろいろな人々に助けられ、旅が続けられた、とも言う。

 ボブさんの航海は気まぐれだ。進路はコイントスで決めている。次の寄港先は台湾。「その後はま
だわからない」と、笑いながら話した。

 この月曜日、東寄りの風が吹いた。きっと与那国島を出港したはずだ。今ごろは台湾のハーバーで
休養か。またコイントスをしたのだろうか。もしかして「リターン・オキナワ」かも。

 また、気ままなヨットマンに会えるような気がする。南風が吹くころに。(伊禮健)

ソース
http://www.okinawatimes.co.jp/col/20070228e.html