北海道新聞:社説 公立病院改革 効率で医療は守れるか 2007年11月15日
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/60604.html

 大半が赤字経営となっている公立病院の経営改善策を検討する総務省の有識者懇談会が改革の指針案をまとめた。
 病床利用率が3年続けて70%未満の病院は病床数19以下の診療所に縮小するといった抜本的な見直しを迫っている。
 経常収支比率や医療収益に占める職員給与比率などについて、数値目標を定めた改革プランを来年度中に策定するよう求めている。
 自治体に極めて厳しい内容だ。
 全国に千余りある公立病院の8割は赤字で、病院経営は自治体の財政悪化の最大級の要因になっている。
 公立病院は民間では経営が成り立ちづらい不採算の医療を担ってきた。24時間対応の救急医療もそうだ。過疎地や離島を抱えるところもある。
 赤字体質にはそれぞれ事情がある。効率を優先して全国一律の基準で線引きし、公立病院を再編・統合しようとするのはかなり乱暴だ。
 最大限の効率的運営を図っても病院が赤字になる場合は、一般会計からの繰り入れで黒字になるよう数値目標を設定できることになっている。
 しかし、収益に直結する病床利用率が3年連続70%未満の公立病院が15%を占める。道内では3割近い。
 将来の黒字化を数字のうえで示すことすら難しいだろう。改革プランは絵に描いたもちになりかねない。