北海道新聞 社説 2007年11月1日
療養病床削減 患者が不安抱かぬよう
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/58174.html

 慢性病の高齢者らが長期入院する療養病床の削減計画の素案を道がまとめた。
 道内2万7千床の療養病床のうち3割の8700床を2011年度末までに減らし、介護施設への転換を目指す。
 「療養病床の患者の半数は治療の必要がない」と厚生労働省が昨年、医療費抑制を目的に病床の削減方針を
示したのを受け、道が医療機関の意向を調査したうえで検討を進めてきた。
 国の基準を当てはめると、道内では5割近い削減が必要になる。
 だが、北海道は広大で、特に冬場の通院は大きな負担となる。
 地元の事情に配慮して削減幅を3割に抑え、一定の病床を確保しようとする道の判断はある程度評価できる。
 だとしても、「計画ありき」で機械的に削減すべきではない。患者の「受け皿」を整え、円滑な移行を確かめながら進めることが大切だ。
 療養病床には医療保険適用の「医療型」と介護保険適用の「介護型」がある。国は11年度末までに、25万床ある医療型を
15万床に削減し、12万床の介護型を全廃する方針だ。
 併せて、療養病床を再編して老人保健施設や有料老人ホーム、ケアハウスなど居住型介護施設への転換を図り、軽度の患者を移行させる考えでいる。
 医療コストの低い介護施設や在宅の療養に切り替えれば医療費が減ると国は踏む。課題は受け皿の確保だ。