悪名は無名に勝るという言葉が示すように、誰かに認識してもらおうと形振り構わない人がいる
ある人はSNSの投稿に真っ先にリプライを返し
ある人は客席で派手なパフォーマンスを行い
ある人は関係者通用口の前でしぶとく待ち続け
ある人は自身を傷付けることさえ厭わず
ある人は愛する対象に凶刃を振るった
もしかしたら俺もそうなっていたのかもしれない
いや、俺だって既に承認欲求に取り憑かれた愚か者だ
ふんた本人に、また家族や仲間達に決して知られたくないと望みつつも想いをぶち撒けるのをやめられないのだから
結果、ふんたを直接捉えられる場所へ行くことに恐怖を覚えている
きっと一瞬すれ違っただけで罪悪感に足を掬われてしまうだろう
危害を加えなくたって十分不審人物だ
妄想を書き殴る裏でこんなことを思い悩んでいるうちにもう十三日目になってしまった
俺は本当にふんたを見られているんだろうか
時々それすら分からなくなる