ふんたとかき氷を食べに行きたい
シロップだけのかき氷なら甘い物が苦手なふんたでもきっと食べられるだろう
高く青い空の下、喧騒から離れた山道をドライブした先
たわいない話をしながら申し訳程度の日陰に並ぶ
ふんたの生え際から流れる汗を俺のハンドタオルで拭うと、子供じゃないんだから、と照れたように微笑む
かき氷を食べたいと言い出したのは俺の方なのに
新鮮で混じり気のない澄んだ氷の冷たさや特製シロップの香り高い甘さよりも
30℃オーバーの空気に赤くなったふんたの頬と襟元をぱたぱたと振るふんたの指先ばかり覚えていそうだ
汗を拭ったタオルは洗濯しないでおこうと思ったのは秘密
Tシャツもアンダーも靴下もパンツもその中身も全部俺のものにしたいのはさらに秘密
ありきたりな夏の午後、一度とない夏のまぼろし