もしも俺がもう少し夢想家だったとしたら
ふんたと俺を織姫と彦星になぞらえたりしたんだろうか
二人の間に天の川なんて流れていないことは知っている
間にあるのはカササギも燃やし尽くす業火の大河
ふんたはそこを渡る必要も、存在を知る必要すらもない

本来、短冊に託す願いは仕事や手習の上達と聞いたことがある
それなら書くべきことはひとつ
ふんたが見事な裁きを続けて名行司になれますように
半分は欺瞞だと知りながら
俺は表裏が黒いインクで埋まるほど汚い願望を書き付けた短冊達を炎の中へ放り投げた