先場所まではふんたが入場する姿を見ただけで心臓と肺と金玉の奥が熱く激しく躍動したのに
今日は不思議と冷静でいられた
梅雨特有の陰鬱な空気といつも以上に荒い画質のせいなのか
ノイズ越しに見るふんたは止まない雨の中に立っているかのようで
烏帽子と髪から滴る粒がふんたの頬を、顎を、首筋をつたい落ちる
じっとり張り付いた装束姿は惨めで、憐れで、愛おしくて
濡れたふんたをただ抱きしめたくなる
温めたかったはずの俺の体もどんどん冷たくなって、布越しに触れ合った場所だけが熱を持って
二人揃って馬鹿みたいなのに安らいでいる
そんな梅雨の午後の幻を見た

今場所もよろしくね、ふんた