泣いても笑っても今日で千秋楽、ふんたを見られる最後の日だ
秋が終わって冬が来てクリスマスが訪れ年が明けて、なんて長いんだろう
その間もふんたは感染防止を心掛けながら真面目に働き良い夫良い父として生きていき
俺はつまらない引きこもりとして狭い部屋でただ死なずにいるんだろう
だから今夜だけはただの二匹のヒトになりたい
ふんたの皮膚越しの熱と鼓動を全神経に刻みつけたい
言語化不可能な感情の集まった喘ぎを鼓膜の奥に閉じ込めたい
決して受け止められない体液を枯れるまでぶちまけ合いたい
ふんたが俺の白ジャムの味を、俺がふんたの生クリームの味をずっと忘れられなくなるまで
控えにいるふんたを見ながらこれを書く今、もう俺は泣きそうになってる
その涙の一粒すらふんたは知らない、知るよしもない、知らなくていい
俺は虚しい妄想を、ふんたは幸せな年末年始を
それでいいんだ

十五日間、そして令和二年もお疲れさま、ふんた
来年もよろしく