餌をもらいにやってくる「野良猫」リクエストに応えたら、実は法令違反?

千葉県内に住む女性(60代)にとって、最近のひそかな楽しみは、野良猫がやって来ることだ。
一軒家のキッチンには、昔ながらの勝手口があり、近所に住む猫たちが通る様子を目にすることができた。
その勝手口の前で「みゃー、みゃー」という泣き声が聞こえたのは、春先のこと。

性は「首輪をせず、痩せている様子と顔つきの鋭さから、飼い猫ではないとわかりました。
離れている時に、ご飯の残り物を置いたところ、しばらくして野良猫がとって食べていました。
それから毎日のように来るようになりました」と、嬉しそうに話す。

そして夏になって、その子どもと思われる3匹の赤ちゃん猫たちも、女性のもとを訪ねるようになった。
一方で、野良猫を餌付けして問題がないのか心配もあるという。野良猫への餌付けは法的には問題があるのか。鈴木智洋弁護士に聞いた。

●野良猫への餌やりは法令違反?
ーー結論的には、野良猫への餌やりは法的な問題があるのでしょうか
現状、野良猫に餌をやることを直接禁止している法律はありません。
むしろ、猫は動物愛護法上、虐待や遺棄から守られる存在として法律上位置づけられているとも言えます。
野良猫に餌をやること自体は、違法とはなりません。
ーーでは、この女性のような行為は問題ないと言っても大丈夫ですか
そうとは言えません。
例えば、勝手口にとどまらず、私有地の駐車場や他人の家の軒先など、他人の所有地で断りなく餌やりをしたような場合には、
無断で他人の土地に立ち入ったとして、民事上の損害賠償の問題になり得ます。
また、路上や公園に餌をまいたまま放置していれば、道路法や各地の公園条例に違反する可能性はあります。
さらに、相談者は1匹に餌やりをした結果、その数カ月後には、その子猫たちも来るようになりました。
このまま餌やりによって野良猫が沢山集まってきたような場合には、野良猫の鳴き声がうるさい、
敷地内に糞をされた、といったことで近隣トラブルが発生することもあります。
鳴き声や糞尿被害なども、ある程度までは受忍限度の範囲内ということになるでしょうが、その程度が酷い場合には、
不法行為を構成するということで民事上の損害賠償の問題になることもあります。
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