千葉市稲毛区で先月、自宅で倒れた飼い主を助けようと飼い犬が
警察官を自宅まで案内し、けがをした飼い主が警察官に助け出さ
れる出来事があった。千葉北署(鈴木昇署長)は2日、このお手
柄犬に“ご褒美”のドッグフードをプレゼント。鈴木署長は「飼
い主と飼い犬との信頼関係が強かったのだろう」と話している。
 同署によると、先月26日午後6時半ごろ、同区宮野木地先で「
徘徊(はいかい)している犬がいて保護している」と、大学生の
女性から110番通報があった。同署宮野木交番の助川智英巡査部長
(50)が駆け付けたところ、首輪とリードつけたままの犬を見つけ
た。リードをつかむと、その犬は通報者の女性らとともに助川巡査
部長をどこかに案内するかのように引っ張ったため、巡査は犬が案
内するままついて行った。
 100メートルほどついて行くと、犬は民家の玄関でお座りした。
助川巡査部長が掃き出し窓に近づいてみると、「うー、うー」とい
ううめき声が聞こえたため、窓から中を確認すると、ベッドにもた
れかかるように倒れている横島敏雄さん(68)を見つけた。
 横島さんは背中をけがしたらしく、助川巡査部長の119番通報で
駆け付けた救急隊が処置を施した。その後、横島さんは骨折してい
たことが判明し、現在、同市内の病院に入院している。
 この犬は雑種のメスで、名前は「ちーちゃん」。飼い主の横島
さんによると、8年ほど前に千葉ポートタワー(同市中央区)の近
くで拾った犬だといい「あの子はそういう優しいところがある」と
話している。
 助川巡査は「もしかしたら飼い主の家に帰るかもしれないと、
ものは試しで任せてみたら本当に家に帰った。まさにお手柄。人間
の気持ちが分かっているんだと思う」と、お手柄犬の活躍をたたえ
た。