2019年3月25日

歯周炎で壊れた骨の再生、患者自身の幹細胞で…順大など臨床研究を開始
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20190325-OYTET50015/



 順天堂大学などは今月から、歯周炎で壊れた骨などの組織を、患者自身の幹細胞や血液成分を使って再生させる臨床研究計画を開始した。
動物実験では歯を支える骨がおおむね再生し、人でも同様の効果が期待できるという。2年後の実用化を目指している。

 歯周炎は、歯を支える骨まで壊れるほど歯周病の症状が進んだもので、国内に300万人以上の患者がいるとされる。有効な治療法は確立されていない。
糖尿病や動脈硬化などの病気にも悪影響を及ぼすことが知られている。

 臨床研究は、順天堂大、日本大、愛知学院大などのチームが実施する。歯周炎の患者の皮下脂肪から取り出した「脂肪幹細胞」に、患者の血液から分離した成分
「多血小板 血漿 (PRP)」を混ぜて患部に移植。骨などの組織の再生を促す。今秋から患者10人に実施し、安全性や有効性を検証する。

 犬を使った実験では、移植から2か月で、壊れた骨の約8割が再生したという。同チームの 飛田護邦 ・順天堂大准教授(再生医療)によると、PRPのみを患部に注入する
治療は行われているが、効果は十分に検証されていない。飛田准教授は「安全性や有効性が確認されれば、50万円以下で治療できるようにしたい」としている。

 大阪歯科大学の馬場俊輔・主任教授( 口腔 インプラント学)の話「歯科では、細胞を使った本格的な再生医療の臨床研究になる。低コストで使えるようになれば、画期的だ」