医師と助産師との助産において法的な問題が存在する

業務分担
 医師     医療・助産(医師法下)
 看護師    医療の補助・看護
 助産師    医療の補助・看護・助産(保助看法下)
医師法に縛られない、医療として扱われない助産行為が法的に存在する。
同様に保助看法に縛られない、医療として扱われる助産行為も存在する。
医療として扱われた助産に保助看法は介入出来ない。
それは医療として扱われなかった助産に医師法が介入しないのと同様である。
(日本医事新報平成十八年十月十四日号「看護師の内診は違法か」より引用)
病院内助産所では、「先生、これは正常分娩ですから、医師は口を出さないで下さい。
助産師の責任下で行います」と言う事が罷り通る。
困ったことにこれは法的に正当な主張なのである。
病院内助産所では、助産師の判断がここでの最高意志決定となる。
従来の医療の観点から見れば異例の抜擢である。薬剤師が薬を出すには医師の処方箋が要る。
放射線技師も医師の指示の下でなければ患者の体に放射線を当てることが出来ない。
検査室も同様である。これらすべて法で定まっている。
従来の産科医療機関であれば助産師も医師の指示の下で動かなければならなかった。
だが今回のこの院内助産所ではこのヒエラルキーが断ち切れる。
院内助産所を国が推進している以上、法的にこうした助産所も認めざるを得なくなる。
産婦人科医不足を院内助産所という姑息的手段で解決しようとすると必ず弊害が
起こるであろう。現行法での助産師の業務規定は助産師が医療機関内で業務を行うこと
を想定していない。想定しているのは医師がいない場所で、医療とは別枠で扱う助産なのである。
医療機関内で働く場合には薬剤師や放射線技師と同様に“助産師は医師の指示の下で助産を扱う”
といった成文が本来ならなくてはならなかった。

出典 http://medg.jp/mt/?p=22