「学校も出展にはビクビクしていたんです賛成してくれた人はごくわずかでした。『創価学会の天皇のような存在を飾るのは(いかがなものか)』と
社会的反響を考慮して反対した先生もいます。でも、『満点だ』と言ってくれた方もいて、最後は僕が周囲を説得して出展にこぎつけました」
創価学会ウォッチャーでジャーナリストの乙骨正生(おつこつまさお)氏も、実際に作品を見て衝撃を受けたという。

「すごいインパクトがありましたね。観客がクスクス笑ったり、『池田ってこんな感じだよね』と漏らしていたのを見て、
この絵は池田さんや創価学会の実像が投影されている印象をもちました。聖教新聞などに載る池田さんの顔の多くは修正されたものと聞きます。
その点、渡辺さんの肖像画は実物に近く、池田大作の本質をとらえている。片親が学会員で、もう一方が非学会員という家庭に育つと、
その子は学会の活動に疑念をもつことが多い。池田さんは組織内では絶対者だが、世間はそうは見ていません。その滑稽さや問題意識が、
あの絵にはこめられているように思います」 渡辺氏の家族の感想はどうだったのか。 「父は見ていないけど、母は見にきてくれました。
あまりにショックだったのか、何も言いませんでした」 一応、創価学会にも絵について聞いてみた。 「ご指摘の作品を承知しておりませんので、
コメントしようがございません」
風刺と受け取るものもいれば、学会礼賛と受け止めた者もいる。賛否両論を巻き起こした今回の作品だが、渡辺氏はこう言う。
「僕自身は信者ではなく、学会については肯定も否定もしません。絵を見た人が問題提起として受け止めてくれればそれでいい。
これからも池田氏をモチーフに描いていくつもりです」 次回作が楽しみだ。