文星芸術大(宇都宮市上戸祭4丁目)で昨年12月、3年生の女子学生=当時(21)=が鉄板の切断作業中にやけどを負って死亡した事故から1カ月がたった。火花が女子学生の作業着の首元から入り、起毛素材のインナーに引火したとみられることが捜査関係者への取材で判明。近くに消火器具はなく、付き添いの職員が別の部屋にいたことも分かった。作業時の火花を原因とした火災は栃木県内で時折発生しており、消防関係者は作業着の適切な着用など対策の徹底を呼び掛けている。

 県警や大学によると、女子学生は12月22日午後、多目的工房室の外の作業台で、立体作品制作のため電動工具のグラインダーを使って金属を切断していた。自主制作日だったが、大学からグラインダーの使用許可を得て職員に作業助手を頼み、燃えにくいつなぎやゴーグル、手袋の着用など注意事項を順守していた。

 一方、捜査関係者によると、女子学生はフリースのような燃えやすいインナーを着用していた。つなぎの燃焼状況ややけどの状況から、首元から火花が入って引火したとみられる。大学は「当日は風が強く、火花があおられたのかもしれない」とみる。

 当日は女子学生以外の学生は出席しておらず、作業助手の職員はいたものの壁を隔てた部屋で事務作業をしていた。作業台のそばに消火器や水が入ったバケツの用意はなく、悲鳴を聞いた職員がやかんで水をかけたが、最終的には女子学生自ら室内の水道で頭から水をかぶって消火した