モラトリアム
大人になる事を先延ばしにすることを心理的モラトリアムといいます。こういう人たちをモラトリアム人間ということもあります。

社会が成熟し、豊かになったからこそ、青年期(または学生時代)が長くなり、人生の重大な決定をする前に、いろいろと考えたり、
試したりすることができるのです。 アイデンティティの確立とは、別のことばで言えば、いろいろな可能性を切り捨てることとも言えます。

たとえば幼稚園に行っている私の子ども達は、大きくなったら、うどん屋さんになりたい、正義の味方ビーファイターになりたい、
ウルトラマンのガッツの隊員になりたい、 宇宙飛行士になりたい、サンタクロースになりたいと、いろいろなことを言います。
何にでもなれると思っているのです。これは、子どもとしてごく普通のことであり、良いことです。
高校生でも、声優になりたい、漫画家になりたい、看護婦になりたい、プロ野球選手になりたい、大学に行って弁護士になりたい、
医者になりたい、いろいろなことを思うでしょう。 夢を持ち、大きな可能性を信じることはすばらしいことです。

でも、小さな子どものように自分は何にでもなれると単純に信じることはできません。なりたい職業全部につくことはできません。
どれかをあきらめ、どれかを切り捨て、自分の道を選ばなくてはなりません。

だから、アイデンティティの確立を先延ばしにするモラトリアムがあるのです。

☆可能性を切り捨てるとは、ただ何となくあきらめるのことではありません。
意思をもって断念し、別の新たな一つの道を選び取る作業です。