こんにちは。
たくさんありがとうございます。

「天気の子」の話の続き。

陽菜が戻ってきて雨が再び降り始めた後、
帆高は思いの外軽い処分で済みました。
2年半後、陽菜が笑顔で高校生をしていて、帆高も進学して陽奈の元に戻ってきます。
もしもこれが
「人柱一人で狂った天気が戻るなら歓迎」する大人達が作っている世界なら、
こんなことにはなっていないでしょう。
あれだけ晴れ女として多くの人に関わったのですから
人々の記憶にも、ネット上の記憶にも残っています。

陽菜が天に昇った夢を多くの人たちが見ました。
たぶん降り続く雨が止んで欲しいと心のどこかで願っていた人たち。
そして陽菜がその願いを叶えるために人柱に立ったことを
はっきりとは認識できずとも感じていたはず。
陽菜と天気の関係を結びつけ、
人柱となることをやめた陽菜を
執拗に追い詰め責め立てただろうと思います。

でもそうはならなかった。
物語だから綺麗に終わらせたのかとも考えられますが、
私は人々が陽菜の犠牲を良しとせず、
ただ雨を受け入れたのだろうと思いたいです。
世界を変えてしまったとしょげる帆高に対して
冨美さんの「なんであんたが謝るのさ?」も
須賀さんの「んなわけねえだろ」も
おそらく事情を察しているのに責めていません。

世界の一人一人が特別な誰かの犠牲を強いることなくそれぞれに雨を受け入れた。
この雨が止まないのを誰かのせいとはせず、
また、彼らが責められないように徹底的に守った。
この世界の人々もまた他人を愛する第一歩を踏み出せているのではないかと思いました。