その立花さんが病理医に論破されてますw

立花 
抗がん剤のことを少し調べましたが、抗がん剤は恐ろしいものだという印象を受けますね。

樋野 
抗がん剤はがん細胞だけでなく、正常細胞もやっつけますから、副作用に苦しむ人が多いのです。薬の作用は副作用であり、副作用がない薬はありません。
抗がん剤は正常細胞とがん細胞の両方をやっつけますが、がん細胞のほうが増殖の度合いが強いので、よりがん細胞に効くわけです。
しかし、正常細胞にもリニュー(複製・再生)を支える増殖力の強い細胞があり、その細胞も同時に叩かれますから、
さまざまな副作用に苦しむことになるわけです。最近は、がん細胞に特異的に効く分子標的治療薬という新しい抗がん剤が出てきており、
普通の抗がん剤と分子標的薬のコンビネーション・セラピーが行われるようになっています。

立花 
抗がん剤によってどれほどの延命効果があったかという統計資料を見ると、それほど大きな効果はないような感じを受けます。
「ベネフィットとリスク」という観点に立つと、ベネフィットが意外にない。

樋野 
中皮腫の薬に、昨年認可されたアリムタ(商品名)という薬があります。
その薬が効く人は中皮腫の患者さんの一部ですが、効く人には良く効きます。
しかし、残念ながら1年後ぐらいしてまた大きくなるケースが多いです。だから延命効果はそれほどない。
大事なことは、その薬を飲んだことによって一時的に中皮腫が小さくなり、
入院先の病院から歩いて自宅に帰り、1年間、普通の生活ができることです。
つまりQOL(生活の質)は完璧に上がるのです。そういう点を考えると、延命効果だけでは判断できません。

立花 
そういう場合は、その薬を使用する前に、患者との間にきちんとインフォームド・コンセントをとるということですね。

樋野 
そうです。抗がん剤はがんの大きさによって効き方が違います。
いままで効かなかった薬でも、がんが小さくなると効いてくるケースがあります。そういう意味では、がんを小さくするというのは意味がある。

立花 
僕の場合は、進行度がT1の膀胱がんですから、大したがんではなく、予後もそんなに悪くはないと思っていますが、
「いずれ再発するから、そのときが問題だ」と言われています。いま3カ月おきに検査をしてもらっています。
先日「これはちょっと怪しい」ということがあって、特別な断層撮影をやってもらいましたが、大丈夫でした。
しかし、どこでどうなるかわからない。それでいろんな情報を仕入れて、抗がん剤についても読んでみたのですが、僕は抗がん剤は使いたくないという気持ちです。

樋野 
私たちが大学に入った当時は、小児がんで多くの子供が亡くなりました。
しかし、いま小児がんの多くが治ります。
小児がんの特効薬が革命的に開発されたわけではありません。
医者が薬の使い方を学んできた結果です。同じ薬でも、使い方によって治せるようになるのです。
薬の使い方をよく知っている専門的なオンコロジスト(腫瘍内科医)が必要ですね。

http://www.gsic.jp/support/sp_02/spcth/04.html