今や、市内の路線はすっかり頭に入っている。誠志郎ちゃんの家から記者の自宅(門司区)の
最寄りバス停までの行き方を聞いてみると「『砂津』まで行って乗り換えて6番か63番か83番に
乗ればいいよ。49番は遠回りだから気をつけて」と間髪入れずに答えてくれた。
 現在の楽しみは毎週末の「西鉄バスの旅」。隆治さんや真理さんと一緒にバスに乗って、市内
各地の停留所の様子を見に行くのだ。「バスは細かい道まで走り、雨のときは暗くなって晴れたら
明るくなり、天気が変わる時を見られるのがいい。看板や景色を見るのも好き」と車窓からの眺めも楽しむ。
 西鉄バスが今年度、北九州市内で把握した表示ミス8件のうち7件は誠志郎ちゃんの指摘。もちろん園児からの
連絡は初めてだ。小さなバスマニアの指摘に、西鉄グループの広報担当者は「表示の確認が行き届かず
申し訳ない」と恐縮する一方、「いつもバスを使ってくれて非常にうれしい。将来、一緒に働ける日を願っています」。
 同社への要望を尋ねると、誠志郎ちゃんはこう提案した。「(門司港の)『和布刈(めかり)』から戸畑まで
走る74番の運転手は長い距離で大変だと思う。せめて小倉までにしたほうがいいんじゃない?」【宮城裕也】