自動運転が普及しバス運を辞めさせられ35歳になった俺は、
貯金も底をつき生活保護を申請に役所に行った。
役所の窓口は鉄格子で覆われ、両脇にはガードマン
まるでアジアの銀行のような物々しい雰囲気だった。

俺が生活保護の申請を申し出ると、役所の男性職員が面倒臭そうに1枚の用紙をくれ、
「雲助、ワッパ回し、雲回し!!あ、もうワッパも回せないんでしたっけね!!自動運転様々っすね!!」
職員はそれだけ言うと、すぐに次の高齢者に同じ説明を始めた、申請者が次々来るのだ。

俺が、「自動運転のせいで失業しました、、生活が出来ません…」と言うと、
職員はさらに面倒臭そうに1枚の地図をくれ、「でも、しょうがないよね?自分が選んだ道だから!!誰もバス運になってくれだなんて頼んでないよ!!自己責任!!」と捲し立てられ
俺は諦めて帰るしかなかった。

後日、役所から1枚のハガキが届いた。ハガキの内容は言うまでもない。当然の内容だった。
俺はただ眠るしかなかった。寝ている間は嫌なことは全て忘れられる唯一の時間だったのだ。
「まさか、自動運転が普及したせいで失業なんて」 
俺の頬を冷たいものが伝う。何の努力もせずバス運まで墜ちた代償は、あまりに大きかった。

「おいっ!起きろ!点呼だよ、いつまで寝てんだよ!新人!」

俺は悪臭漂うバス運の仮眠室で目が覚めた。すべては夢だったのだ。
いや、夢なんかじゃない。俺はきっと2年後の未来を見て来たに違いない。

俺はその日、バス運を辞めた。