幼稚園の頃からチョコレートをもらってたようだが、覚えていない。
小学1年のバレンタインデーで、近所に住む同じクラスのカワイイ子がお母さんと一緒に家に来て、恥ずかしそうに渡してくれた。
玄関先でバイバイと手を振ろうとすると、その子は自分の母親が見ている前で私にチューをして、顔を真っ赤にして母親を押し出すように玄関を飛び出した。
バレンタインデーという日は女性が男性にチョコレートを渡す日ではなくて、女性が男性に愛を告白する日だということを知ったチビッコの頃。
中学の頃は勉強とスポーツばかりだったのでそれほどでもなかったが、それでもわざわざ家までチョコレートを持ってきてくれた女子がいた。
「恥ずかしいから絶対にナイショにしてね」だって。カワイイね♪ もちろんナイショにしといたサ。

高校は余裕で入れるハズだった第一志望に落ちるという不測の事態に見舞われたけど、二次で入った私立高校が男女共学。
校内でかなり目立った存在だったので、私が廊下に出るたびに学年関係なくチョコレートと告白がセットでかわるがわる押し寄せた。
高2のときは学校だけで20個近くになり、職員室で保管してもらった。
さすがに全部を持って帰ることができないので、先生や友人と分け合った。
自分で開封してないのは誰からもらったかわからないので、学校では誰にもお返しをしなかった。
家に帰ってヤレヤレと思っていたら、別の高校に通う同じ中学だった子が雪の中を歩いて、チョコレートを持ってきてくれた。
「作ったの・・・あのね、」と言って黙り込む。その子の美しい瞳を見ていると、何も言うことができずに私は黙って受け取った。
お返しを持って行った時に、もうチョコレートはいらないよと言ったら、泣いて家に入ってしまったのが一生忘れられない。
本命チョコの断り方がわからず、傷つけてしまったかも知れない年頃。