五歳ほどの少女がいた
その少女は一つの人形を大事に大事にしていた
その人形は妙にリアルな女の子
でも少女は気にしもしなかった
時は過ぎ
一三になった彼女は
今やそのような人形は
頭の片隅にも無い
そしてある日引っ越す事になった
彼女は整理をしながらあの人形を見つけた
「…こんなのあったっけ」
人形は思った
あんなに一緒にいたのに
ずっと私を一人にして
悲しい
彼女は言った
「…捨てちゃおうかな」
…その日の夜から、彼女は変な夢を見るようになった
一つ目は人がいなくなる夢
二つ目は人が殺されてしまう夢
…今日はどんな夢を見るんだろう
彼女は寝た
「…うぅ」
夢の中、彼女は今殺されかけている
「はぁ!ハァハァ…起きちゃった。なんかまた変な夢を見たな…」
彼女は母に告げた
「なんだか最近変な夢ばかり見るの。ストレスかなぁ。」
「そうねぇ…最近何かあったかしら」
その時彼女は思った
彼女の背後には、いつも笑顔のあの子がいる、と。