やりがいをエサにして人を酷使する組織

自己実現のわなが新たな働きすぎを招く

劣悪な待遇や環境下での長時間労働など、非正規雇用の若者たちによる働きすぎの問題の背景には「やりがい搾取」があると分析します。

従来、働き過ぎが起こるのは、「上司や同僚が残業をしていると帰りにくい」といった職場の空気が主な原因。

いわば集団圧力によって、長時間労働を強いられるからだと言われてきました。

自分の好きなことを仕事にし、仕事にのめり込んでいく若者たちは、働き過ぎではあっても充実しているし、幸福であるかのように見えます。

しかし実際は、経営者側が仕事の中にしかけたゲーム性・カルト性・奉仕性などのからくりによって、若者たちは巧妙にワーカホリックへと動かされている、これは「やりがいの搾取」というべきもの。

企業が「やりがい」「成長」といった言葉をえさにして従業員に長時間労働を強いるなど、貴重な人材を酷使する図式は、昨今の“ブラックバイト”にも通じる問題だといえるでしょう。