>自分の唐手には、猫足、前屈、後屈などという立ち方はない、いわゆる猫足などというものは
>武術の上で最も嫌う浮き足の一種で、体当たりを食えば一っぺんに吹き飛んでしまう。
>前屈、後屈などというのも不自然な立ち方で、自由な足の働き、動きを妨げる。
>じぶんの唐手の立ち方は、形の時も、組手の時も、ナイファンチのように軽く膝を落とした
>立ち方で、自由に運足し、攻防に際しては膝を締め、腰を落とすが、前にも後ろにも体重をかけず、
>いつも体重は均等に両足にかける (1993年/本部朝基正伝/小沼保/)

本部が何でこんな前屈や後屈を嫌ってるかというと、別に立ち方を嫌ったのではなく、単純に
「坊主憎けりゃ袈裟まで憎し」で、本部が初めて著書を出版する数年前に同い歳の船越義珍が
唐手界初の書である琉球拳法唐手を先に出版してたから。著書で義珍は「足の立ち方には
閉足立ち、八字立ち、丁字立ち、前屈、後屈、猫足、踏切、三進立ち等がある」(30頁参照)と
解説してしまってる。船越はサラっと述べてるが、現代に至るまで前屈や後屈や猫足や三進立ちや
その他諸々紹介された立ち形の沖縄語の名称は確認できない。カキエやカケディーはあるのに前屈
立ちや後屈立ちや八文字立ちや三戦立ちは沖縄の発音で何と呼ばれてたの?というと、口をつぐむw

ようするに義珍が唐手を語る上で便宜上初めて分類して命名した。郷土で自分より実力も名も無く、ついでに
言えば身分も下の男が急に代表ヅラして唐手の立ち方云々を決めつけてるのが気に入らなかったと思われる。
十二本組手には前屈が多用されてるしヒザ蹴りやナイハンチの波返しはまんま猫足の趣きがあるのにね。