@「スパイファミリー」7を読了。標的デズモンドの冷え冷えとしたオーラは敵役にふさわしいが、この作者だからどんなガセをかましてくるやら。以降の銘々伝的ミッションの中では、ダミアンの冒険と望星のひと幕はなかなか感動的だし、ボンドの暗黒の予知もおかしい。次なるクルーズ編を楽しみにしよう。

@田中・荒川コンビの「アルスラーン戦記」15を読了する。営々と一党が築いた版図をすべて父王に召し上げられ、ちゃぶ台返しされた王太子。大長編の波乱はかくありたいが、血も涙もない作者だなあと思わせてから、一党の脱走劇の幕が切って落とされる痛快さ。読者は作者の掌で一喜一憂させられるのみ。

@加藤元浩さん『Q.E. D.』18巻読了。中編二本だが、どちらも読ませる。前半の密室事件にギクリ。年内脱稿予定の『昭和36年のミステリ』が密室なので、カブッたら首吊りものだが、大丈夫だった。二本目の『学園祭組曲』の構造に感服。可奈の「思い出の箱」(1ページの大ゴマの笑顔)には感動した。

@アニメ「86」8話まで見る。いったん動き出した国家の欺瞞や謀計は転落する雪玉とおなじで、個人の正義感だの善意なんか屁の突っ張りにもならないと、戦時中に熟知させられた。86のメンバーほどの自我すらないわれわれだったから、なお怖い。昔話ではない、直近のオリンピックを参照すればわかる。