小島一志先生名言集
「塚本が会社をやめたいと言い出した時は、悪質なジョークか季節外れのエイプリルフールと
思ってカレンダーを確認した。
だがジョークではなく本気らしいと知り狼狽しショックを受けた。
ようやく心を落ち着けて理由を聞くと塚本は雑貨屋の経営をやりたいと言い出した。
夢を語る彼女の目は深く澄み渡り、口調もしっかりしていて本気だとわかった。
僕も長年の取材活動で多くの人間の目を見てきた男だ。これは止めても無駄だなと直感で悟った。
思えば塚本は社会に出てからずっとMUGENでメシを食ってきた。外の世界を知らない。
ここらで世間の荒波に揉まれて厳しい現実を知るのもいいかもしれない。
だから俺は塚本を快く送り出すことにした。
塚本よ、何があっても夢をかなえなさい。
そして一回りも二回りも大きくなって帰って来い。
副社長の席は空けたまま待っているぞ」