吉祥丸先生は合気道じゃカリスマじゃなかったけど経営センスは良かった。
サラリーマンもやってたし。
だから合気会がここまで広がったわけで。

一つは今となって時代に合わなくなってきたが、基本の技を理合い習得に特化させて殺伐とした部分を無くした事。
それは戦前までの金持ちのパトロンに頼る武術家一派ではなく、生徒から少しづつ金を貰う道場経営というものを根付かせた。
戦後直後で殺伐とした殺し合いにうんざりした世相で、女性や子供にも健全に習うことが出来るちょっと魔法のような武道というのは人気を博したから。

もう一つは藤平先生との分裂騒ぎになった確執からの学習。
藤平先生は実力もカリスマもあり独特のわかりやすい教え方で人気の先生で、合気会2代目とも目されていた。
だがそれゆえに藤平流が強くて藤平先生が2代目になったらそれに整理されてしまう事に危機感を持った先生方の勢力が吉祥丸先生を担ぎ上げた。

結果合気会を二分する騒ぎになったのだが、そこで武術は一先生一流派という傾向がありそれを否定すると分裂する危険があるという事を学んだ。
だから緩やかに統一しつつもそれぞれの先生の教え方を個性として受け入れる方針をとった。
それを止めるとたぶん分裂が加速するだろうね。