例えば横蹴り(松濤館系ほか)の場合、左横蹴りだとしたら左手を
相手の突きの手を裏拳で受けて、または相手の突き手に引っ掛けて、
その相手の突いた手の側の脇を蹴り上げる(蹴上げ)、または脇腹を
蹴る、その際反対側の右手は脇に置く、というように習うと思われるが、
型としての見栄えはさておき、対人でこれをやるのには互いに約束
しないと実行するには無理がある。基本的に型でやる動作は相手の突きは
突いたらとこで止まってもらわないとできない。なのでその用法自体が
間違っている。
むしろ横蹴りは少なくとも蹴り側の手は相手のどこかに引っ掛け、さらに
掴む、そして体は真横ではなく斜めにして足刀よりは母指球か足裏、または
かかとなどで相手を蹴る。もっと考えれば反対側の引き手が不自然なので、
この松濤館系横蹴りは、むしろ剛柔系の両手で相手を掴み、関節蹴りをする
形に似たものだったのではないか。相手の着衣のどこかを両手で掴む、そして
(左蹴りの場合)右手は引きつける、左手は押す、そして自分も左前の斜めに
なり、左の蹴りを打つ、蹴る場所は限定しないが、太ももや金的、腹など。