小島先生は大薮春彦のエンターテイメントとしてのある程度の完成度を認めつつも石原慎太郎の『太陽の季節』の亜流である事とその浅薄なルサンチマンと超人思想を批判している。
「この二人の文学の共通点として既成の権威に対する強烈な憎しみと否定はあったんよ。でもそれを打倒し自身が権威となってしまった時のヴィジョン、それが致命的に欠けていたのが残念じゃな」
一撃会の読書会で小島先生はそう仰っていた。